教採に挑戦!⑤ 新学習指導要領1
ここまで、新学習指導要領について学んできましたので、教員採用試験の問題に挑戦してみましょう。3回連続で挑戦していただきます。全部で20問の予定です。
解答、解説をしっかり読むと、さらに学びがふかまりますので、頑張ってください。
●01問
次の文は、平成29年・平成30年に告示された小学校、中学校、高等学校の学習指導要領前文の共通した 内容をまとめたものである。文中の[(1)]、[(2)]にあてはまる語句として最も適切なものを下の アからエのうちからそれぞれ一つずつ選べ。 (2019年度/栃木県)
教育課程を通して、これからの時代に求められる教育を実現していくためには、よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し、それぞれの学校において、必要な学習内容をどのように学び、どのような資質•能力を身に付けられるようにするのかを敎育課程において明確にしながら、 社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという、[ (1) ]教育課程の実現が重要となる。
学習指導要領とは、こうした理念の実現に向けて必要となる教育課程の基準を大綱的に定めるものである。 学習指導要領が果たす側の一つは、公の性質を有する学校における [ (2) ]ことである。また、各学校 がその特色を生かして創意工夫を重ね、長年にわたり積み重ねられてきた教育実践や学術研究の蓄積を生 かしながら、児童(生徒)や地域の現状や課題を捉え、家庭や地域社会と協力して、学習指導要領を踏まえた教育活動の更なる充実を図っていくことも重要である。
(1) ア 社会からも強く求められる イ 社会に開かれた ウ 社会の変化に対応した
エ 社会を創り出していく
(2) ア 基礎的•基本的な内容の指導を徹底する イ 生きる力をはぐくむ教育を重視する
ウ 特色ある教育活動を展開する エ 教育水準を全国的に確保する
●02問
次の文は、平成29年3月告示の小学校学習指導要領、中学校学習指導要領に示されている小学校(中学校) 教育の基本と教育課程の役割について述べた箇所を一部修正して作成した説明文である。( )に当てはまる語句として正しいものはどれか。 (2019年度/岡山市)
学校の教育活動を進めるに当たっては、各学校において主体的•( )で深い学びの実現に向けた授業改善を通して、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で、児童(※中学校は「児童」を「生徒」 とする)に生きる力を育むことを目指すものとする。
- 協同的
- 協働的
- 意欲的
- 積極的
- 対話的
●03問
次の文は、平成29年3月告示の小学校学習指導要領、中学校学習指導要領に示されている学校運営上の留意事項に関する説明文である。( )に当てはまる語句として正しいものはどれか。 (2019年度/岡山市)
各学校においては、校長の方針の下に、校務分掌に基づき教職員が適切に役割を分担しつつ、相互に連携しながら、各学校の特色を生かした( )・マネジメントを行うよう努めるものとする。また、各学校が行う学校評価については、教育課程の編成、実施、改善が教育活動や学校運営の中核となることを踏まえ(※ 中学校は「踏まえ」を「踏まえつつ」とする)、( )・マネジメントと関連付けながら実施するよう留意するものとする。
- リスク
- シラバス
- カリキュラム
- タスク
- ケア
●04問
次の文は小学校学習指導要領(平成29年文部科学省)の第1章「総則」の第1の4である。これを読んで、問に答えなさい。 (2019年度/北海道)
各学校においては、児童や学校、地域の実態を適切に把握し、教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと、教育課程の[ 1 ] を評価してその改善を図っていくこと。 教育課程の実施に必要な[ 2 ]を確保するとともにその改善を図っていくことなどを適して、教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくこと(以下「カリキュラム・マネジメントJという。)に努めるものとする。
問 空欄1、空欄2に当てはまる語句の組合せを選びなさい。
ア 1-実施状況 2-時数又は教材
イ 1-実施状況 2-人的又は物的な体制 '
ウ 1-実施時数 2-時数又は教材
エ 1-実施時数 2-人的又は物的な体制
オ 1-学習状況 2-人的又は物的な体制
●05問
小学校学習指導要領(平成29年告示)に関する次の問いに答えよ。(2019年度/香川県)
次の【 】内の文は、学習指導要領の「第1章総則 第1 小学校教育の基本と教育課程の役割」の一部を示そうとしたものである。
文中のX、 Yの( )内にあてはまる語句は何か。あとの①〜⑥からそれぞれ一つずつ選んで、その番号を書け。
【基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、 判断力、表現力等を育むとともに、主体的に学習に取り組む態度を養い、個性を生かし( X )を促す教育の充実に努めること。その際、児童の発達の段階を考慮して、児童の( Y )など、学習の基盤をつくる活動を充実するとともに、家庭との連携を図りながら、児童の学習習慣が確立するよう配慮すること。】
① 豊かな心や創造性の涵養
② 健康で安全な生活の実現
③ 多様な人々との協働
④ 言語活動
⑤ 体験活動
⑥ 体育・健康に関する活動
●06問
小学校学習指導要領(平成29年告示)に関する次の問いに答えよ。(2019年度/香川県)
学習指導要領の「第1章総則第2教育課程の編成」の内容について述べた次の①〜④のうち、誤っているものはどれか。一つ選んで、その番号を書け。
①各教科、道徳科、外国語活動及び特別活動の内容に関しては、例外なくいずれの学校においても取り扱わなければならない。
② 各教科、道徳科、外国語活動及び特別活動の内容に掲げる事項の順序は、特に示す場合を除き、指導の順序を示すものではない。
③ 特別活動の授業のうち、児童会活動、クラブ活動及び学校行事については、内容に応じ、年間、学期ごとなどに適切な授業時数を充てるものとする。
④ 給食、休憩などの時間については、各学校において工夫を加え、適切に定めるものとする。
ここから先は、解答編です。
■01問の答え (1)イ (2)エ
平成29年、30年に告示された学習指導要領では、それまでの指導要領にはなかった「前文」が新たに追加されました。「前文」は、教育基本法第2条、教育課程の定義、社会に開かれた教育課程、学習指導要領の定義、学習指導要領策定の宣言という5つの段落から構成されています。このうち、教員採用試験で多く出題されているのは「社会に開かれた教育課程」「学習指導要領の定義」の2点のようです。前者では「社会に開かれた教育課程」、「社会との連携及び協働」が、後者では「大綱的」「公の性質、「教育水準」がそれぞれキーワードとなりますので、しっかり覚えておきましょう。
■02問の答え 5
この問題は、小学校(中学校)学習指導要領 総則の「第1 小学校(中学校)教育の基本と教育課程の役割」からの出題です。ここで問われている「主体的・対話的で深い学び」は、「社会に開かれた教育課程」、「カリキュラム・マネジメント」と並んで重要なキーワードなことは学んできましたね。「主体的な学び」、「対話的な学び」、「深い学び」という3つの視点に立った授業改善を行うことで、学校教育における「質の高い学び」「学習内容の理解」「資質・能力の獲得」「生涯に渡る能動的な学びの実現が期待されていることも押さえておきたい。
■03問の答え 3
これは実に簡単!ここに書かれている文章は、学習指導要領総則の「第5章 学校運営上の留意事項」ですが、答えを入れた文章を改めて読んでみると、「カリキュラム・マネジメント」の定義が明確になるので、勉強するにはもってこいの問題ですね。繰り返し読んでみよう!
■04問の答え イ
カリキュラム・マネジメントには次の3つの側面が重要です。
第1 教科等横断的な視点で、目標達成に必要な教育内容を組織的に配列すること。
例えば算数のグラフと社会で学んだ国際情勢、そして理科の環境の学習、国語の表現で「世界の環境問題について自分の考えをまとめよう!」という学習が可能ですね。
第2 教育内容の質の向上に向けて、子どもたちの姿や地域の現状等に閲する調査等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図るという一連のPDCAサイクルを確立すること。
学校が行った「学校評価」により、保護者や地域の願いを知り、学校経営に取り入れる。「学力調査」の結果を読み解き、指導方法の改善を行うのもその一例です。そして、たてたプランを元に(P)、改善したことをやってみて(D)うまくいったか評価して(C)またまた改善する(A)・・・この流れがPDCAです。
第3 教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合せることである。
もう学校の中だけで、全ての問題を解決しようという時代ではありません。多くの人材に学校教育に入っていただくことで、先生方が「子どもと向き合う時間を確保できる」ことにも繋がりますね。
カリキュラム・マネジメントは、学校が知恵を絞って、目の前の子どもたちに最もふさわしい教育を行う上でも大切なスピリッツです。もちろん、校長に任せきりではなく、採用されたらあなた自身も「チーム学校」の一員として活躍しなくてはなりませぬぞ!!
■05問の答え X ③ Y ④
ここでは「知・徳・体」のうち、「知」に関する目標が示されています。 ここでは、知識及び技能、思考力、判断力、表現力、主体的に学習に取り組む態度といった、新指導要領以前の学習指導要領にも記載されている「資質・能力の育成」が引き続き目指されていることに加えて、多様な人々との協働を促す教育の充実が新たに追加されたことが注目されます。また、学習の基盤をつくる活動として、これまでの学習指導要領で重視されてきた「言語活動」が位置づけられたことも押さえておく必要があります。
これからの時代を生きていく子どもたちには、コミュニケーション能力はとっても大切であり、その基盤である「言語能力」は引き続き重要であるとの認識があります。
■06問の答え ①
この問題は、小学校学砦指導要領の総則「第2教育課程の編成」の「3教育課程の編成における共通的事項」から出題されています。①は「例外なく」いずれの学校においても取り扱わなければならないとしている点で不適切です。 正しくは、「特に示す場合を除き」いずれの学校においても取り扱わなければならない。ですね。また、③と④については、以前の学習指導要領にも記載されていますが、やや細かい事項であるだけに見落としがちです。これらもしっかりと押さえておきたいですね。