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教職勉強会の師範のブログ

新学習指導要領を理解しよう!③ カリキュラムマネジメントって何?

1 カリキュラムマネジメントの立ち位置

 前回、新学習指導要領の中心概念が「社会に開かれた教育課程」であるお話をしました。

 新学習指導要領をわかりやすく説明する図でも、ど真ん中に位置付けられているのがわかるでしょう。そして「今日のテーマ「カリキュラムマネジメント」は、その真下に『各学校のおける「カリキュラムマネジメント」の実現』と位置付けられ、全体をどう進めるかの指針という立ち位置になっているのがわかります。

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中心に据えられているのがわかりますね

 2 なぜ学校が「カリキュラム」の「マネジメント」までするのか?

 「マネジメント」という言葉は、辞書的には「管理」や「経営」という意味を持ちます。2009年にベストセラーになった『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの”マネジメント”を読んだら』で有名になった経済学者ドラッカーによれば、マネジメントとは「組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関」マネージャーとは「組織の成果に責任を持つ者」とされています。

 会社経営のような「マネジメント」は、「学校」とは縁遠いと思われますが、例えば「総合的な学習の時間」や高等学校の「教科・科目の選択幅の拡大」など、教育課程の弾力化により、各学校におけるカリキュラム開発が求められるようになってきており、さらに「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正」など学校裁量権(学校に判断を任せる)の拡大とそれに対する説明責任 (アカウンタビリティーと言われます)や、学校内部評価の努力義務が定められるようになり、「経営」という概念が学校にどんどん入ってきていました。

 その流れの中で、学校の「カリキュラム」(教育内容、学校での生活活動全般)を学校や児童生徒の実情に応じた、より効果的な推進が大切だということになったのです。

 3 どのように「マネジメント」するのか?

 まず、マネジメントの基本は、現状の正確な把握、自校の課題が何であるかをとらえる必要があります。(そのデータは「全国学力調査」や「学習・生活意識調査」また、毎年教職員、児童生徒、保護者に行う「学校評価アンケート」の結果などがあります。)「次に、その課題を解決し、学校改善を実行するためには、どのような手段を用いるのかを考え、実行する流れになります。そして、やりっぱなしではなく、やってみた後に、効果があったのか、うまくいかないのはなぜかを検証し、改善するという手順を踏みます。この一連の流れを計画(Plan)→実行(Do)→点検・評価 (Check)→改善(Action)のサイクル(PDCAサイクルと言います。

 

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4 誰がマネジメントするのか?

 カリキュラム・マネジメントは、学校の責任者である校長だけが、あるいは中心になって行うのでしょうか?いえ、カリキュラム・マネジメントは、各学校の教育目標の具現化を目指して行う「学校改善のための営み」であり、また「学校の特色づくり」の核となるものです。ですから、カリキュラム・マネジメントを実践するためには、校長のリーダーシップの下、教職員が共通の目的意識を持って一丸となって「チーム学校」で組織的に学校運営に当たる必要があります。

 

 

5 答申ではどう書かれているか?

①各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校教育目標を踏まえた教科等横断的な視点で、その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと。

②教育内容の質の向上に向けて、子供達の姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立すること。

③教育内容と、教育活動に必要な人的、物的資源等を、地域等の外侮の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること。

*「第1部 学習指導要領改訂の基本的な方向性」「第4章 学習指導要領の枠組みの改善と「社会に開かれた教育課程」」「2。学習指導要領等の改善の方向性」より

どうでしょうか、前半のお話から答申で書かれている文言がイメージできましたか?

本日の講義は、ここまで・・・