Egurotのブログ

教職勉強会の師範のブログ

新学習指導要領の「特別な配慮」について

1 「特別な配慮」と言えば・・・誰を指す?

さて、問題です。新学習指導要領の「総則」の「第4 児童(生徒)の発達の支援」には「特別な配慮を必要とする児童(生徒)」について、書かれています。では、対象となるのは、どのような児童(生徒)でしょうか?

 「特別な配慮」と言えば、「特別支援」と頭に浮かんだ方、正解です!でも、それだけでは完璧ではありません。

 

 正しくは、①障がいのある児童(生徒)②日本語の習得に困難のある児童(生徒)③不登校児童(生徒)の3つです。②の「日本語の習得に困難のある児童(生徒)」を意外に思われた方も多いと思いますが、この3つはしっかり覚えておきましょう。

 

 「特別支援教育」「不登校」については、改めて詳しくみることとして、今回は日本語の習得に困難な子どもたちの状況を確認しましょう。

  2 文科省の調査結果

 文部科学省では、日本語指導が必要な児童生徒の教育の改善充実に資するため、公立 小・中・高等学校等における日本語指導が必要な児童生徒の受入れ状況等について調査 を行って言います。令和元年9月に発表された「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に 関する調査(平成 30 年度)」の結果の概要は以下の通りです。

 

(1)日本語指導が必要な児童生徒の学校種別在籍状況

・日本語指導が必要な児童生徒数は全国で50,759 人で前回調査より 6,812 人増加 (15.5%増)
・日本語指導が必要な外国籍の児童生徒数は 40,485 で前回調査より 6,150 人 増加(17.9%増)
・日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒数は 10,274 で前回調査より 662 人 増加(6.9%増) 

  下の図のように、年々増加傾向にあります。全国には、様々な国から働きにきている外国人の家族や、国際結婚などで外国人を親にもつ子どもも多くなってきています。

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年々増加傾向にあるから、自分も関わる可能性は大である!

(2)日本語指導等特別な指導を受けている児童生徒の割合をみると

・日本語指導が必要な外国籍の割合は 79.3%

・日本語指導が必要な日本国籍の割合は74.4%

 (※)特別な指導とは、在籍学級での指導以外に、 日本語指導や教科の補習等を行うこと。

しかし、現状では日本語を指導できる場や人材が十分ではなく、全ての子どもに十分な日本語教育が行き届いていない現状もあるようです。

(3)日本語指導が必要な外国籍や日本国籍の児童生徒の母語別在籍状況 

・外国籍の児童生徒では、ポルトガル語母語とする者の割合が全体の約4分の1で最も多い。 

日本国籍の児童生徒では、フィリピノを使用する者の割合が約 3 割で、最も多い。 

支援が必要な子どもたちの「母語」からみると、ブラジル(南米で唯一スペイン語公用語ではない国)、フィリピンと関わりの深い子どもたちであることが、伺えますね。

このような、状況であるため義務教育を終えた段階で、日本の社会からドロップアウトしてしまう子どもたちも多くいます。

・日本語指導が必要な高校生等の中退・進路状況については、全高校生等と比較すると中途退学率で7.4倍、就職者における非正規就職率で9.3進学も就職もしていない者の率で2.7高くなっています。 

 

3 教師になったとき

 私は、スウェーデンからのお子さんを一年間受け持った経験がありますが、学習内容を伝える難しさだけでなく、友達関係の構築、日本の風習、文化に至るまで、理解してもらうのに苦労しました。

 自分が教師になったとき、日本語が通じない子どもいた時、その子に対して、学級の子どもたちに対してどう対応するか。チーム学校としてどんな連携協力体制を作るか?ぜひ、考えてみてください。

宗教によっては、食べられない食材もあるので、給食の献立についても配慮が必要ですね。