Egurotのブログ

教職勉強会の師範のブログ

新学習指導要領を理解しよう!⑦ 「プログラミング教育」

1 「プログラミング教育」とは

 今回の新学習指導要領で話題になっていた目玉の一つが、「プログラミング教育」です。

 これは、小学校の新学習指導要領の「総則」に新たに登場したものですが、中・高でも、簡単なプログラムやコンピュータの働きを理解し、解決策を具体化することを目指します。中学校では、「技術・家庭(技術分野)」でプログラミングを扱い、高校では共通必履修科目の「情報」」で、 プログラミング及びモデル化とシミュレーション、ネットワークとデータベースの基礎などを扱うことになります

 育成を目指す資質・能力(三つの柱)に照らし合わせると,次のような資質・能力を育むことが求められています。

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  総則の「解説」では、「プログラミング教育」は教科等における学習上の必要性や、学習内容と関連付けながら、 計画的で無理なく確実に実施することとし、また、 教育課程全体を見渡し、実施する学年や教科等を決定することとしています。

 これは、学校の教育目標や子ども、 地域の実態に合わせて各学校で工夫してプログラミング教育を実施していくということです。

 さらに、こうしたプログラミング教育を行うにあたっては、専門性も求められることから地域や民間と連携し、学校外の人材やモノを活用していくことの必要性も書かれています。

2 プログラミングを覚えることが目的ではない

「プログラミング教育」と聞くと、実際のプログラムを組むというような作業をイメージしてしまいますが、小学校段階では、こうしたことまでは求められてはいません。さまざまな教科の学習を通じて、身近な生活でコンピューターが活用されていることや、 問題の解決には必要な手順があることに気付くなど、「プログラミング的思考」を身に付けることを目指しているからです。そして、この小学校で培ってきた力を発展させて、中学校や高校では上にも書いたように、簡単なプログラムやコンピュータの働きを方について学ぶようになっています。

今回、導入されることとなった「プログラミング教育」は、 これからの「AI」や「IoT」が当たり前の社会を、まさに「生きる力」を身に付けるためのものとも言えますね。

皆さんも、ICTの活用能力は直実につけておくようにしましょう!

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 3 略語もマスターしておこう

ちなみに、A IとIoTについて補足しておきましょうか。

「AI」(人工知能)とは「エーアイ」と読み、「Artificial Intelligence」の略です。

「AI」(人工知能)は通常の単純作業だけをひたすら行う機械とは違い、人間が行なうような知的作業をコンピュータにやらせるソフトウェアなどを指しています。

「IoT」とは「アイオーティー」と読みます。「Internet of Things」の略で「モノのインターネット」と訳され、モノがインターネットを介してつながる技術や仕組み、世界を意味しています。

*千葉県の採用試験では昨年「ICT」の英語が問題に出ています。この二つが今年出るかもしれませんぞ!

 っま、毎日ブログに違う話題を書くようなことは、A Iでも無理でしょうな・・・ははは

新学習指導要領を理解しよう!⑦ 「学びの地図」

 新学習指導要領については、採用試験で多く出ますし、面接時にふと聞かれたときに答えられないといけませんので、これからも重要なキーワードの解説を続けましょう・・・

今日は「学びの地図」という言葉です。聞いたことありましたか?

1 「学びの地図」って何?

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新学習指導要領の登場の中で「学びの地図」という言葉がよく聞かれるようになりました。

 新学習指導要領は、これまで学校内だけで完結していた教育課程を、「社会に開かれた教育課程」という中心理念をもとに学校外にも共有していくことを明言しました。この話はすでにしましたね。

 そのため中教審は,新学習指導要領が「子供たちと教職員に向けて教育内容を定めるという役割のみならず,様々な立場から子供や学校に関わる全ての大人が幅広く共有し活用することによって, 生涯にわたる学習とのつながりを見通しながら,子供たちの多様で質の高い学びを引き出すことができるよう,子供たちが身に付ける資質・能力や学ぶ内容など,学校教育における学習の全体像を分かりやすく見渡せる『学びの地図』としての役割」を果たすようにと答申で提言しました。

 これまでは、教員のための学習指導要領であった性格を大きく変えたとも言えますね。

2 「学びの地図」の6つの役割

 これを受けて,学習指導要領の「学びの地図」としての役割を,6つの方向性として構造化して, 「総則」に組み込むことになりました。「学びの地図」の姿形がここに示されることになったのです。

 総則の目次を見ると、下に示した内容が順に書かれていることがわかります。

①「何ができるようになるか」(育成を目指す資質・能力)

②「何を学ぶか」(教科等を学ぶ意義と教科等間・学校段階等間のつながりを踏まえた教育課程の編成)

③「どのように学ぶか」(各教科等の指導計画の作成と実施,学習・指導の改善・充実)

④「子ども一人一人の発達をどのように支援するか」 (子どもの発達を踏まえた指導)

⑤「何が身に付いたか」(学習評価の充実)

⑥「実施するために何が必要か」(学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策)

*総則ではこの後に道徳教育にというのが第6章として示されています。

 これこそ「学びの地図」という言葉の意味であり、新指導要領の「総則」の書き振りでもあるのです。

3 この6つの柱をうまく説明できるように

 採用試験では、学習指導要領は頻出のテーマです。特に新学習指導要領から示された「前文」と「総則」はとてもよくでます。

 この「学びの地図」という言葉の意味を頭に入れて、「前文」と「総則」をじっくり目を通すようにしましょう。この6つの柱で理解すると、新指導要領を構造的に理解できるようになります。

本日は、ここまで!

 

コロナによる休校 みんなは何て答える?

新聞の投書欄に、埼玉の小学生が次のような文章を投稿していました。

新型コロナウイルスがはやり、小学六年生の三月から突然休校になりました。

卒業式はしましたが、急に学校が終わってしまったので、いまだに卒業したという実感が全くありません。

かといって、中学校に入ったという実感もありません。

ぼくは本当に中学生なのでしょうか。

学校に慣れないうちに多くの課題を出されても、習っていないところは勉強できません。もやもやとした気持ちの毎日です。
最近、「今が正念場」という言葉をよく聞きますが、ずっとそう言っているので、いつが本当の正念場なのかと思ってしまいます。休校が続けば、校外学習や体育祭などもなくなってしまいます。 それなら、九月入学にして、全ての行事をみんなで楽しくできるようにしてほしいです。」

これを、読んで考えてしまいました・・・

地域によっては遠隔授業をやっている学校もあるようです。しかし、地域の格差が出始めているとも言われ、また、ネットに繋がられない、パソコンも無い家庭の子どもたちが多くいるという報道もあります。

この投書をした、中学1年生に皆さんだったらどんなことを話しますか?

今年度の教員採用試験では、きっと「コロナによる休校について何か考えたことがありますか?」という質問があるでしょうね。私が面接官なら聞きます、即答できるか・・・これが、将来教員を目指す皆さんの資質を直截的に表すと思うからです。

現在、全国の先生方は頭を悩ませていることでしょう、遅れた学習をどう取り戻すか、再開するにはどんな環境整備が必要か、再開後にまた休校になることを想定した準備はどんなことがあるか・・・考えるとキリがありません。

ぜひ、このテーマについてもいろいろな角度から考えてみてください・・・・

 

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新学習指導要領を理解しよう⑥  生きる力

1 新学習指導要領における「生きる力」

 この言葉も、学習指導要領ではお馴染みの言葉です。今回の新指導要領で「生きる力」は、これまでの指導要領から引き継がれたことは、まず忘れてはいけない大切なことですが、今回の改訂では、その理念をどうやって目指していくのかを明確に示しているというのも大きな特徴であることを覚えておきましょう。

2 新指導要領における「生きる力」の定義

 まず、新学習指導要領ではどのように定義されているかを確認しましょう。

「生きる力」は、これまでの定義同様に、子どもたちの確かな学力(知),健やかな体(体),豊かな心(徳), の3つに関わるものであることは変わりありませんが、「総則」の「解説」では、「予測困難な社会の変化に主体的に関わり, 感性を豊かに働かせながら,どのような未来を創っていくのか,どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかという目的を自ら考え、自らの可能性を発揮し,よりよい社会と幸福な人生の創り手となる力を身に付けられることが重要」とされ,これこそが「長年その育成を目指してきた『生きるカ』であること」と「改めて捉え直し」ています。この定義も自分の言葉で言えるように頭の中で反芻しておきましょう。

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3 「生きる力」育成のための充実策

 新学習指導要領では、この意味づけだけでなく、さらに、「生きる力」育成のための充実策も示しています。

 その第1の策は、「生きる力」を子どもたちに育むために「何のために学ぶのか」という各教科等を学ぶ意義を子どもと教師が共有すること。

 そして第2の策は,「何を学ぶか」という教育内容だけでなく,その内容を学ぶことで児童が「何ができるようになるか」という、育成を目指す最終的な目標である資質・能力の三つの柱を明確に設定して指導を行うこと。

 さらに第3の策として、「人としてよりよく生きる力を育てるために」,「特別の教科道徳」の新設。

 最後に第4の策として, 全教科等において「各学年の目標及び内容」を「知識及び技能」, 「思考力,判断力、表現力等」, 「学びに向かう力・人間性等」の三つの柱で再整理することを掲げています。

 これらの策を講じることでより、知・徳・体の全体にわたる「生きる力」の育成のさらなる充実を目指しているのというのが今回の新指導要領における「生きる力」の特徴となります。

 これまでぼんやりと「生きる力」を育成するとしていた学習指導要領に、これら具体的な方略を示すことで、本気で「生きる力」を育てていこうという意気込みを示したとも言えますね。

 定義と4つの方策はノートに書き、頭にしっかり入れてくださいね。

教育法規 「懲戒」と「分限」を理解しておこう

昨日の問題でも出てきた「懲戒」と「分限」。

教育公務員は、全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務しなければならない責務を 負っています。これを確保し、担保する仕組みとして、「懲戒」と「分限」の処分があります。不祥事が教員採用試験でも問われる場合もあり、これらの言葉もセットで覚えておくといいですね。では、この二つを整理しておきましょう。

 1 懲戒処分と分限処分の違い

(1) 懲戒処分とは職員の一定の義務違反に対する道義的責任を問うことにより、公務員関係における規律ないし秩序の維持を目的として、任命権者が科す職員の意に反する処分

(2) 分限処分とは公務能率の維持を目的として、一定の事由により科せられる職員の意に反する処分

一言で言うと、こうなりますが堅苦しいのでもっとわかりやすく・・・

 2.懲戒処分とは

(1) 意義:職員の一定の義務違反に対して科せられる制裁としての処分です

(2) 目的: 職員の道義的責任の追及による服務規律及び秩序の維持を目的としますで、任命権者が、教職員の服務違反に対して、「制裁」を課すためのものです。

したがって、免職になった場合は、退職金はありません。

 「懲戒**」という言われ方が一般的です。「懲戒免職」はニュースでもよく聞きますね。

(3) 種類

懲戒処分は「戒告」「減給」「停職」「免職」の4つがあります。

   ア.免職(職員としての身分を失わせる処分)

   イ.停職(職員を一定期間職務に従事させない処分)

   ウ.減給(職員の給与の一定割合を一定期間減額して支給する処分)

   エ.戒告(職員の規律違反の責任を確認するとともに将来を戒める処分)

(4) 処分事由

・法律、条例、規則、規程に違反した場合

・職務上の義務違反及日職務怠慢の場合

・全体の奉仕者に相応しくない非行があった場合となります。

 

 時代によって厳しさの違いは出てきており、ここ最近は公務員への処分は大変厳しいものがあります。酒気帯び運転で定年直前に逮捕されて「懲戒免職」となり、退職金が出ないなんて話もあります。

 教育公務員に厳しいのは、教育全体の信頼を損ねてしまうことが大きな理由です。

 昔は、ある程度許容された(?)体罰も、きびしい処分が多くされています。また、個人情報を扱う方法もUSBやパソコンのハードディスクに入れる時代になり、情報漏洩も処分の対象になっています。

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3 分限処分とは

(1) 意義:職員が一定の事由により、その職責を十分に果たすことが期待しえない場合に、職員の意に反する不利益な身分上の変動をもたらす処分

(2) 目的:公務能率の維持及び公務の適切な運営の確保が目的です

(3) 種類及び処分事由は「免職」「降任」「休職」「降給」の4つ 

   ア. 免職(職員としての身分を失わせる処分)

      勤務実績不良、心身の故障による職務遂行への支障等

      適格性欠如、職制・定数の改廃又は予算減少による廃職等

   イ.降任(現に占めている職より下位の職に任命する処分)

   ウ.休職(職を保有しつつ一定期間職務に従事させない処分)

 エ.降給(給料を現在より低い額に決定する処分)

 このように懲戒処分と違って、懲罰的な意味合いはありません。あなたは公務員やこの職種に向いていないのではないか、あなたは別の職業に移ったほうがいいのではないかという意味を持った処分です。

ですから、免職になった場合でも退職金が出ます。

 任命権者側からすれば、公務の能率的運営を確保するために、法令に基づいて行うものですが、結果的には懲戒処分同様、本人にとっては不利益な処分になりますね。

 

●懲戒処分については、逆に言えば地方公務員法で定められた教員の「職務上の義務」「身分上の義務」と連携させて覚えておくといいですね。

  • 「職務上の義務」3つ

・服務の宣誓(地方公務員法第31条)

・法令等及び上司の職務上の命令に従う義務(地方公務員法32条

・職務に専念する義務(地方公務員法第35条)

  • 「身分上の義務」5つ

・信用失墜行為の禁止(地方公務員法第33条)

・秘密を守る義務(地方公務員法第34条)

・政治的行為の制限(地方公務員法第36条)

・争議行為等の禁止(地方公務員法第37条)

営利企業等の従事制限(地方公務員法第38条)

 これらに違反すると「懲戒処分」になる可能性があると言うことにもなりますね!

*覚え方!しっかりマスターしよう!

本日はここまで!

教育法規クイズシリーズ7 教職員に関する法規(3)服務について

今日は、教職員の服務規定についての問題です。

◯か×かで答えよう!

今回の法規は、必ず暗記しておく重要な法規です。覚え方も書いていますので、ささっと覚えちゃいましょう。

17

公立学校の教員は、勤務時間の内外を問わず、法令、条例、地方公共団体 の規則および地方公共団体の機関の定める規程に従い、かつ、上司の職務 上の命令に忠実に従わなければならない。

 18

公立学校の教員は、法律または条例に特別の定めがある場合を除くほか、その勤務時間および職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき貴を有する職務にのみ従事しなければならない。

 19

公立学校の教員の政治的行為の制限は、「国家公務員の例による」とされており、政党その他の政治的団体の結成に関与し、これらの団体の役員となることや、これらの団体に関わる勧誘運動はしてはならない。

 20

公立学校の教員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならず、退職後も同 様であるが、法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事 項を発表する場合、退職後は任命権者の許可を受ける必要はない。

 21

職場におけるハラスメントは、公務員という職の信用を傷つけ、職員の職全 体の不名誉となるような行為に当たり、懲戒処分の対象となることがある。

 22

公立学校の教員は、労働者であり、その基本的権利として争議行為(ストライキ)が認められている。

 23

教職員は、本務の遂行に支障がない場合に、教育に関する職であれば営利を目的とするものであっても、任命権者の承認を得て、兼職が可能である。

 24

勤務実績が良くない場合や教員の職に必要な適格性を欠く場合には、懲戒処分として戒告、減給、停職または免職の処分をすることができる。

 

ここから解答編です!

よーく、読んでね!

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  1. ×

「勤務時間の内外を問わず」は誤り。この義務は職務の遂行に当たって遵守すべき職務上の義務です。

(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)第三十二条 職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。 

地方公務員法第35条「職務に専念する義務」にあります。ちなみに「法律に定めのある場合」には、教育公務員特例法第22条第2項に定める勤務場所を離れた研修などがあります。

  • 地方公務員法第35条(覚え方 みご(35)とな仕事ぶり!職務専念しとる)

(職務に専念する義務)

第三十五条 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。 

教育公務員特例法第18条「公立学校の教育公務員の政治的行為の制限」の規定にあります。地方公務員法第36条第1項に定める行為のほか、政治目的の寄付金に関することや公選による公職の候補者となることなどが禁止されています。

ちなみに一般の地方公務員の場合、所属する地方公共団体の区域外であればできる政治的行為もありますが(地方公務員法第36条第2項)、教育公務員は許されてはいない。

  • 教育公務員特例法第18(公立学校の教育公務員の政治的行為の制限)
    第18条 公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については、当分の間、地方公務員法第36条の規定にかかわらず、国家公務員の例による。 
  • 地方公務員法第36条(覚え方 見ろ!36 政治のビラ配ってるぞ!)

(政治的行為の制限)

第三十六条 職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、若しくはこれらの団体の役員となつてはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない。

2 職員は、特定の政党その他の政治的団体又は特定の内閣若しくは地方公共団体の執行機関を支持し、又はこれに反対する目的をもつて、あるいは公の選挙又は投票において特定の人又は事件を支持し、又はこれに反対する目的をもつて、次に掲げる政治的行為をしてはならない。ただし、当該職員の属する地方公共団体の区域(当該職員が都道府県の支庁若しくは地方事務所又は地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市の区若しくは総合区に勤務する者であるときは、当該支庁若しくは地方事務所又は区若しくは総合区の所管区域)外において、第一号から第三号まで及び第五号に掲げる政治的行為をすることができる。

一 公の選挙又は投票において投票をするように、又はしないように勧誘運動をすること。

二 署名運動を企画し、又は主宰する等これに積極的に関与すること。

三 寄附金その他の金品の募集に関与すること。

四 文書又は図画を地方公共団体又は特定地方独立行政法人の庁舎(特定地方独立行政法人にあつては、事務所。以下この号において同じ。)、施設等に掲示し、又は掲示させ、その他地方公共団体又は特定地方独立行政法人の庁舎、施設、資材又は資金を利用し、又は利用させること。

五 前各号に定めるものを除く外、条例で定める政治的行為

3 何人も前二項に規定する政治的行為を行うよう職員に求め、職員をそそのかし、若しくはあおつてはならず、又は職員が前二項に規定する政治的行為をなし、若しくはなさないことに対する代償若しくは報復として、任用、職務、給与その他職員の地位に関してなんらかの利益若しくは不利益を与え、与えようと企て、若しくは約束してはならない。

4 職員は、前項に規定する違法な行為に応じなかつたことの故をもつて不利益な取扱を受けることはない。

5 本条の規定は、職員の政治的中立性を保障することにより、地方公共団体の行政及び特定地方独立行政法人の業務の公正な運営を確保するとともに職員の利益を保護することを目的とするものであるという趣旨において解釈され、及び運用されなければならない。

  1. ×

退職後も任命権者の許可を受けなければなりません(地方公務員法第34条「秘密を守る義務」)。 この守秘義務は、公務員としての身分を有する限り遵守すべき身分上の義務ですが、退職後であっても、在職中に知り得た秘密の性質は変化しないため、それを漏らすことは許されない。なお「職務上知り得た秘密」には、指導要録や健康診断票の記載事項などがあります。

(秘密を守る義務)

第三十四条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。

2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に係る任命権者)の許可を受けなければならない。 

地方公務員法第33条に定める「信用失墜行為の禁止」については、何がそうした行為に当 たるのか一般的基準に関する法的規定は書かれていませんが、法令・条例・規則等への違反、金銭トラブル、男女関係のもつれ、盗撮、痴漢行為、情報漏洩、飲酒運転や過度のスピード違反などの交通違反、職場でのハラスメントなどが当てはまると考えらます。

懲戒処分を定めた地方公務員法第29条は、処分の基準として、①法令等への違反、②職務上の義務への違反や職務怠慢、③全体の奉仕者たるにふさわしくない非行を挙げており、信用失墜行為は処分の対象となる行為す。せいぜい、私のブラックジョークはギリギリセーフでしょうかね(笑)

(信用失墜行為の禁止)

第三十三条 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

  • 地方公務員法第29条(懲戒)(覚え方は 罪を憎29んで懲戒免職)

第二十九条 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。

一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合

二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合

三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

2 職員が、任命権者の要請に応じ当該地方公共団体の特別職に属する地方公務員、他の地方公共団体若しくは特定地方独立行政法人の地方公務員、国家公務員又は地方公社(地方住宅供給公社地方道路公社及び土地開発公社をいう。)その他その業務が地方公共団体若しくは国の事務若しくは事業と密接な関連を有する法人のうち条例で定めるものに使用される者(以下この項において「特別職地方公務員等」という。)となるため退職し、引き続き特別職地方公務員等として在職した後、引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合(一の特別職地方公務員等として在職した後、引き続き一以上の特別職地方公務員等として在職し、引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合を含む。)において、当該退職までの引き続く職員としての在職期間(当該退職前に同様の退職(以下この項において「先の退職」という。)、特別職地方公務員等としての在職及び職員としての採用がある場合には、当該先の退職までの引き続く職員としての在職期間を含む。次項において「要請に応じた退職前の在職期間」という。)中に前項各号のいずれかに該当したときは、これに対し同項に規定する懲戒処分を行うことができる。

3 職員が、第二十八条の四第一項又は第二十八条の五第一項の規定により採用された場合において、定年退職者等となつた日までの引き続く職員としての在職期間(要請に応じた退職前の在職期間を含む。)又はこれらの規定によりかつて採用されて職員として在職していた期間中に第一項各号の一に該当したときは、これに対し同項に規定する懲戒処分を行うことができる。

4 職員の懲戒の手続及び効果は、法律に特別の定がある場合を除く外、条例で定めなければならない。

  1. ×

争議行為は認められていません(地方公務員法 第37条「争議行為等の禁止」)

 地方公務員には、憲法第28条の定める労働3権のうち、団結権地方公務員法第52条)と団体交渉権(同法第55条)は制限付きで認められていますが、団体行動権(争議権)は認められていなのです。

(争議行為等の禁止)

第三十七条 職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。

2 職員で前項の規定に違反する行為をしたものは、その行為の開始とともに、地方公共団体に対し、法令又は条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に基いて保有する任命上又は雇用上の権利をもつて対抗することができなくなるものとする。

  1. ×

教員には、教育に関する職の兼業・兼職が一部で認められていますが、塾講師、家庭教師など、 営利を目的とするものは認められていません。認められるのは教育雑誌になどへの寄稿とか、教育関連書籍の執筆などで、教員は、あくまで全体の奉仕者たる公務員であり、 —部の利益を追求する営利企業の職に従事することは認められないからです。教員ではない一般の地方公務員は、勤務時間の内外を問わず原則として兼職・兼業は禁止されているのですから、特殊性がある職種と言えますね。

営利企業への従事等の制限)

第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

2 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。 

  1. ×

「懲戒処分」ではなく「分限処分」です(地方公務員法第28条第1項)。分限処分は、制裁を与える懲戒とは異なり、公務能率の維持向上や教員の身分保障を目的としています。道義的責任を問われず、職員の身分の喪失や変動など身分上の変化を内容としています。

  • 地方公務員法第28条第1項(覚え方 ニヤ!28 懲戒でなくてよかった)

(降任、免職、休職等)

第二十八条 職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。

一 人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合

二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合

三 前二号に規定する場合のほか、その職に必要な適格性を欠く場合

四 職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合

2 職員が、左の各号の一に該当する場合においては、その意に反してこれを休職することができる。

一 心身の故障のため、長期の休養を要する場合

二 刑事事件に関し起訴された場合

3 職員の意に反する降任、免職、休職及び降給の手続及び効果は、法律に特別の定がある場合を除く外、条例で定めなければならない。

4 職員は、第十六条各号(第三号を除く。)の一に該当するに至つたときは、条例に特別の定がある場合を除く外、その職を失う。

*ついでに「懲戒処分」と「分限処分」についても、ノートに要点をまとめておこう!

教育法規クイズシリーズ6 教職員に関する法規(2)研修に関する問題

教職員の研修に関する問題です。◯か×で答えてください。
通常の研修に加え、初任者、中堅、大学院など様々な研修の機会があります。
皆さんも、採用されたらバッチリ鍛えてもらってくださいね。

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09
教育公務員特例法は、教育公務員に対し「その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない」として研修を義務付けている。

10
公立の小学校等の校長および教員の任命権者に対しては、指標を踏まえ、当該校長および教員の研修について、毎年度、体系的かつ効果的に実施するための計画を定めることが義務付けられている。

11
教員は授業のない場合に限り、教育委員会の承認を受け、勤務場所を離れて研修を行うことができる。

12
教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。

13
公立の小学校等の教諭等の任命権者は、当該教諭等に対して、その採用の 日から1年間、個々の能力、適性等に応じて、教諭等としての資質の向上を図るために必要な事項に関する研修を実施しなければならない。

14
校長は、初任者研修を受ける者の所属する学校の副校長、教頭、主幹教諭、 指導教諭、教諭、主幹保育教諭、指導保育教諭、保育教諭または講師のうちから、指導教員を命じるものとする。

15
中堅教諭等資質向上研修とは「個々の能力、適性等に応じて、公立の小学 校等における教育に関し相当の経験を有し、その教育活動その他の学校運営の円滑かつ効果的な実施において中核的な役割を果たすことが期待される中堅教諭等としての職務を遂行する上で必要とされる資質の向上を図る ために必要な事項に関する研修」である。

16
公立の小学校等の教諭等は、任命権者の許可を受けて、3年を超えない範 囲内で年を単位として定める期間、専修免許状の取得を目的として、大学の大学院等に在学してその課程を履修するための休業をすることができる。

 

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9. ◯
教育公務員特例法第21条第1項に示されています。この規定は教育基本法第9条「教員」の規定を受け、特に教育公務員の「研修」について定めています。専門的研究と人間的な修養の両面の自己研鑽に努めることを義務付けており、それを可能にするため、第2項では条件整備義務を任命権者に課しています。
●教育公務員特例法第21条(研修)
 教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。
2 教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない。

10. 〇
 教育公務員特例法第22条の4第1項「教員研修計画」の規定にあります。前回の08問同様、教育公務員特例法の改正により新たに盛り込まれた内容です。

 計画には、任命権者の実施する初任者研修(同法第23条)中堅教諭等資質向上研修(同法第24条)その他の研修に関する①基本的な方針、②研修の体系に関する事項、研修の時期、方法および施設に関する事項、④研修を奨励するための方途に関する事項、⑤その他文部科学省令で定める必要な事項について定めることとされています(同法第22条の4第2項)。


●教育公務員特例法
(教員研修計画)
第22条の4 公立の小学校等の校長及び教員の任命権者は、指標を踏まえ、当該校長及び教員の研修について、毎年度、体系的かつ効果的に実施するための計画(以下この条において「教員研修計画」という。)を定めるものとする。
2 教員研修計画においては、おおむね次に掲げる事項を定めるものとする。
一 任命権者が実施する第23条第1項に規定する初任者研修、第24条第1項に規定する中堅教諭等資質向上研修その他の研修(以下この項において「任命権者実施研修」という。)に関する基本的な方針
二 任命権者実施研修の体系に関する事項
三 任命権者実施研修の時期、方法及び施設に関する事項
四 研修を奨励するための方途に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、研修の実施に関し必要な事項として文部科学省令で定める事項
●教育公務員特例法第23条(初任者研修)
公立の小学校等の教諭等の任命権者は、当該教諭等(臨時的に任用された者その他の政令で定める者を除く。)に対して、その採用(現に教諭等の職以外の職に任命されている者を教諭等の職に任命する場合を含む。附則第5条第1項において同じ。)の日から1年間の教諭又は保育教諭の職務の遂行に必要な事項に関する実践的な研修(以下「初任者研修」という。)を実施しなければならない。
2 任命権者は、初任者研修を受ける者(次項において「初任者」という。)の所属する学校の副校長、教頭、主幹教諭(養護又は栄養の指導及び管理をつかさどる主幹教諭を除く。)、指導教諭、教諭、主幹保育教諭、指導保育教諭、保育教諭又は講師のうちから、指導教員を命じるものとする。
3 指導教員は、初任者に対して教諭又は保育教諭の職務の遂行に必要な事項について指導及び助言を行うものとする。
●教育公務員特例法第24条(中堅教諭等資質向上研修)
公立の小学校等の教諭等(臨時的に任用された者その他の政令で定める者を除く。以下この項において同じ。)の任命権者は、当該教諭等に対して、個々の能力、適性等に応じて、公立の小学校等における教育に関し相当の経験を有し、その教育活動その他の学校運営の円滑かつ効果的な実施において中核的な役割を果たすことが期待される中堅教諭等としての職務を遂行する上で必要とされる資質の向上を図るために必要な事項に関する研修(以下「中堅教諭等資質向上研修」という。)を実施しなければならない。
2 任命権者は、中堅教諭等資質向上研修を実施するに当たり、中堅教諭等資質向上研修を受ける者の能力、適性等について評価を行い、その結果に基づき、当該者ごとに中堅教諭等資質向上研修に関する計画書を作成しなければならない。

11.×
「授業のない場合に限り」および「教育委員会」は誤り。授業がある場合も「支障のない限 り」可能。また「教育委員会」ではなく「本属長」の承認を得る(教育公務員特例法第22条第2 項)。「本属長」とは所属する組織の長で、学校の場合には「校長」になります
同法第22条は「研修の機会」の規定で、第1項は「教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない」と定めています。義務でもあり権利でもあるのですね。
●教育公務員特例法第22条(研修の機会)
教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。
2 教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。
3 教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。

12 ◯
すぐ上にある、教育公務員特例法第22条第3項の規定に書かれています。

13. ×
「個々の能力、適性等に応じて、教諭等としての資質の向上を図るために必要な事項に関する研修」は、この法律の前にあった「十年経験者研修」の内容です。
採用の日から1年間行われる初任者研修は、「教諭又は保育教諭の職務の遂行に必要な事項に関する実践的な研修」です。(教育公務員特例法第23条 第1項「初任者研修」)
すぐ上の10問に法令を載せていますので見てください。

14. ×
「校長」ではなく「任命権者」が正解です(教育公務員特例法第23条第2項)。
都道府県立学校の教員、県費負担教職員の場合、任命権者は都道府県教育委員会地方教育行政の組織及び運営に関する法律第37条)、政令指定都市の市町村立学校の教員の場合は政令指定都市教育委員会となる。
千葉県でいえば前者が千葉県教育庁、後者が千葉市教育委員会ですね。
10問に法令を載せていますので見てください。

15. ◯
中堅教諭等資質向上研修は、08,10同様、 教育公務員特例法の改正により「十年経験者研修」に代わって義務付けられた研修です。
教員の若年化が進み、組織でミドルリーダーの役割を 果たす教員は必ずしも10年以上の在職期間を経た教員でなくなっていることが背景にあります。
改正では、10年という期間を設けず、「教育に関し相当の経験を有し」た教員に行うものとされました。

16. ◯
教育公務員特例法第26条「大学院修学休業の許可及びその要件等」の規定に書かれています。大学院修学休業は、専修免許状の取得を目的とする場合に可能(同法同条第1項第一号)。当然のことながら条件付採用期間中の者、臨時的任用の者、初任者研修を受けている者は、この制度を利用できない(同法同条第四号)。
通常、小中高等学校の教員は専修免許状の基礎資格として、普通免許状を有し3年の在職期間を経ていることが求められています (同法同条第三号、教育職員免許法別表第三)。

なお、この大学院への研修制度を利用する場合、当然のことですが大学院に受験をして合格することが必要です。この場合は教員としての職を休業して行きます。また、長期研修制度を設けている自治体の長期研修制度で行く場合は、都道府県の選考試験にも合格しなければなりません。結構狭き門です!
●教育公務員特例法第26条(大学院修学休業の許可及びその要件等)
 公立の小学校等の主幹教諭、指導教諭、教諭、養護教諭栄養教諭、主幹保育教諭、指導保育教諭、保育教諭又は講師(以下「主幹教諭等」という。)で次の各号のいずれにも該当するものは、任命権者の許可を受けて、3年を超えない範囲内で年を単位として定める期間、大学(短期大学を除く。)の大学院の課程若しくは専攻科の課程又はこれらの課程に相当する外国の大学の課程(次項及び第28条第2項において「大学院の課程等」という。)に在学してその課程を履修するための休業(以下「大学院修学休業」という。)をすることができる。

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