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教育法規クイズシリーズ6 教職員に関する法規(2)研修に関する問題

教職員の研修に関する問題です。◯か×で答えてください。
通常の研修に加え、初任者、中堅、大学院など様々な研修の機会があります。
皆さんも、採用されたらバッチリ鍛えてもらってくださいね。

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09
教育公務員特例法は、教育公務員に対し「その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない」として研修を義務付けている。

10
公立の小学校等の校長および教員の任命権者に対しては、指標を踏まえ、当該校長および教員の研修について、毎年度、体系的かつ効果的に実施するための計画を定めることが義務付けられている。

11
教員は授業のない場合に限り、教育委員会の承認を受け、勤務場所を離れて研修を行うことができる。

12
教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。

13
公立の小学校等の教諭等の任命権者は、当該教諭等に対して、その採用の 日から1年間、個々の能力、適性等に応じて、教諭等としての資質の向上を図るために必要な事項に関する研修を実施しなければならない。

14
校長は、初任者研修を受ける者の所属する学校の副校長、教頭、主幹教諭、 指導教諭、教諭、主幹保育教諭、指導保育教諭、保育教諭または講師のうちから、指導教員を命じるものとする。

15
中堅教諭等資質向上研修とは「個々の能力、適性等に応じて、公立の小学 校等における教育に関し相当の経験を有し、その教育活動その他の学校運営の円滑かつ効果的な実施において中核的な役割を果たすことが期待される中堅教諭等としての職務を遂行する上で必要とされる資質の向上を図る ために必要な事項に関する研修」である。

16
公立の小学校等の教諭等は、任命権者の許可を受けて、3年を超えない範 囲内で年を単位として定める期間、専修免許状の取得を目的として、大学の大学院等に在学してその課程を履修するための休業をすることができる。

 

ここから先は解答編です!

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9. ◯
教育公務員特例法第21条第1項に示されています。この規定は教育基本法第9条「教員」の規定を受け、特に教育公務員の「研修」について定めています。専門的研究と人間的な修養の両面の自己研鑽に努めることを義務付けており、それを可能にするため、第2項では条件整備義務を任命権者に課しています。
●教育公務員特例法第21条(研修)
 教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。
2 教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない。

10. 〇
 教育公務員特例法第22条の4第1項「教員研修計画」の規定にあります。前回の08問同様、教育公務員特例法の改正により新たに盛り込まれた内容です。

 計画には、任命権者の実施する初任者研修(同法第23条)中堅教諭等資質向上研修(同法第24条)その他の研修に関する①基本的な方針、②研修の体系に関する事項、研修の時期、方法および施設に関する事項、④研修を奨励するための方途に関する事項、⑤その他文部科学省令で定める必要な事項について定めることとされています(同法第22条の4第2項)。


●教育公務員特例法
(教員研修計画)
第22条の4 公立の小学校等の校長及び教員の任命権者は、指標を踏まえ、当該校長及び教員の研修について、毎年度、体系的かつ効果的に実施するための計画(以下この条において「教員研修計画」という。)を定めるものとする。
2 教員研修計画においては、おおむね次に掲げる事項を定めるものとする。
一 任命権者が実施する第23条第1項に規定する初任者研修、第24条第1項に規定する中堅教諭等資質向上研修その他の研修(以下この項において「任命権者実施研修」という。)に関する基本的な方針
二 任命権者実施研修の体系に関する事項
三 任命権者実施研修の時期、方法及び施設に関する事項
四 研修を奨励するための方途に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、研修の実施に関し必要な事項として文部科学省令で定める事項
●教育公務員特例法第23条(初任者研修)
公立の小学校等の教諭等の任命権者は、当該教諭等(臨時的に任用された者その他の政令で定める者を除く。)に対して、その採用(現に教諭等の職以外の職に任命されている者を教諭等の職に任命する場合を含む。附則第5条第1項において同じ。)の日から1年間の教諭又は保育教諭の職務の遂行に必要な事項に関する実践的な研修(以下「初任者研修」という。)を実施しなければならない。
2 任命権者は、初任者研修を受ける者(次項において「初任者」という。)の所属する学校の副校長、教頭、主幹教諭(養護又は栄養の指導及び管理をつかさどる主幹教諭を除く。)、指導教諭、教諭、主幹保育教諭、指導保育教諭、保育教諭又は講師のうちから、指導教員を命じるものとする。
3 指導教員は、初任者に対して教諭又は保育教諭の職務の遂行に必要な事項について指導及び助言を行うものとする。
●教育公務員特例法第24条(中堅教諭等資質向上研修)
公立の小学校等の教諭等(臨時的に任用された者その他の政令で定める者を除く。以下この項において同じ。)の任命権者は、当該教諭等に対して、個々の能力、適性等に応じて、公立の小学校等における教育に関し相当の経験を有し、その教育活動その他の学校運営の円滑かつ効果的な実施において中核的な役割を果たすことが期待される中堅教諭等としての職務を遂行する上で必要とされる資質の向上を図るために必要な事項に関する研修(以下「中堅教諭等資質向上研修」という。)を実施しなければならない。
2 任命権者は、中堅教諭等資質向上研修を実施するに当たり、中堅教諭等資質向上研修を受ける者の能力、適性等について評価を行い、その結果に基づき、当該者ごとに中堅教諭等資質向上研修に関する計画書を作成しなければならない。

11.×
「授業のない場合に限り」および「教育委員会」は誤り。授業がある場合も「支障のない限 り」可能。また「教育委員会」ではなく「本属長」の承認を得る(教育公務員特例法第22条第2 項)。「本属長」とは所属する組織の長で、学校の場合には「校長」になります
同法第22条は「研修の機会」の規定で、第1項は「教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない」と定めています。義務でもあり権利でもあるのですね。
●教育公務員特例法第22条(研修の機会)
教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。
2 教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。
3 教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。

12 ◯
すぐ上にある、教育公務員特例法第22条第3項の規定に書かれています。

13. ×
「個々の能力、適性等に応じて、教諭等としての資質の向上を図るために必要な事項に関する研修」は、この法律の前にあった「十年経験者研修」の内容です。
採用の日から1年間行われる初任者研修は、「教諭又は保育教諭の職務の遂行に必要な事項に関する実践的な研修」です。(教育公務員特例法第23条 第1項「初任者研修」)
すぐ上の10問に法令を載せていますので見てください。

14. ×
「校長」ではなく「任命権者」が正解です(教育公務員特例法第23条第2項)。
都道府県立学校の教員、県費負担教職員の場合、任命権者は都道府県教育委員会地方教育行政の組織及び運営に関する法律第37条)、政令指定都市の市町村立学校の教員の場合は政令指定都市教育委員会となる。
千葉県でいえば前者が千葉県教育庁、後者が千葉市教育委員会ですね。
10問に法令を載せていますので見てください。

15. ◯
中堅教諭等資質向上研修は、08,10同様、 教育公務員特例法の改正により「十年経験者研修」に代わって義務付けられた研修です。
教員の若年化が進み、組織でミドルリーダーの役割を 果たす教員は必ずしも10年以上の在職期間を経た教員でなくなっていることが背景にあります。
改正では、10年という期間を設けず、「教育に関し相当の経験を有し」た教員に行うものとされました。

16. ◯
教育公務員特例法第26条「大学院修学休業の許可及びその要件等」の規定に書かれています。大学院修学休業は、専修免許状の取得を目的とする場合に可能(同法同条第1項第一号)。当然のことながら条件付採用期間中の者、臨時的任用の者、初任者研修を受けている者は、この制度を利用できない(同法同条第四号)。
通常、小中高等学校の教員は専修免許状の基礎資格として、普通免許状を有し3年の在職期間を経ていることが求められています (同法同条第三号、教育職員免許法別表第三)。

なお、この大学院への研修制度を利用する場合、当然のことですが大学院に受験をして合格することが必要です。この場合は教員としての職を休業して行きます。また、長期研修制度を設けている自治体の長期研修制度で行く場合は、都道府県の選考試験にも合格しなければなりません。結構狭き門です!
●教育公務員特例法第26条(大学院修学休業の許可及びその要件等)
 公立の小学校等の主幹教諭、指導教諭、教諭、養護教諭栄養教諭、主幹保育教諭、指導保育教諭、保育教諭又は講師(以下「主幹教諭等」という。)で次の各号のいずれにも該当するものは、任命権者の許可を受けて、3年を超えない範囲内で年を単位として定める期間、大学(短期大学を除く。)の大学院の課程若しくは専攻科の課程又はこれらの課程に相当する外国の大学の課程(次項及び第28条第2項において「大学院の課程等」という。)に在学してその課程を履修するための休業(以下「大学院修学休業」という。)をすることができる。

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