教育法規クイズシリーズ7 教職員に関する法規(3)服務について
今日は、教職員の服務規定についての問題です。
◯か×かで答えよう!
今回の法規は、必ず暗記しておく重要な法規です。覚え方も書いていますので、ささっと覚えちゃいましょう。
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公立学校の教員は、勤務時間の内外を問わず、法令、条例、地方公共団体 の規則および地方公共団体の機関の定める規程に従い、かつ、上司の職務 上の命令に忠実に従わなければならない。
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公立学校の教員は、法律または条例に特別の定めがある場合を除くほか、その勤務時間および職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき貴を有する職務にのみ従事しなければならない。
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公立学校の教員の政治的行為の制限は、「国家公務員の例による」とされており、政党その他の政治的団体の結成に関与し、これらの団体の役員となることや、これらの団体に関わる勧誘運動はしてはならない。
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公立学校の教員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならず、退職後も同 様であるが、法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事 項を発表する場合、退職後は任命権者の許可を受ける必要はない。
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職場におけるハラスメントは、公務員という職の信用を傷つけ、職員の職全 体の不名誉となるような行為に当たり、懲戒処分の対象となることがある。
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公立学校の教員は、労働者であり、その基本的権利として争議行為(ストライキ)が認められている。
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教職員は、本務の遂行に支障がない場合に、教育に関する職であれば営利を目的とするものであっても、任命権者の承認を得て、兼職が可能である。
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勤務実績が良くない場合や教員の職に必要な適格性を欠く場合には、懲戒処分として戒告、減給、停職または免職の処分をすることができる。
ここから解答編です!
よーく、読んでね!
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「勤務時間の内外を問わず」は誤り。この義務は職務の遂行に当たって遵守すべき職務上の義務です。
(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)第三十二条 職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
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地方公務員法第35条「職務に専念する義務」にあります。ちなみに「法律に定めのある場合」には、教育公務員特例法第22条第2項に定める勤務場所を離れた研修などがあります。
- 地方公務員法第35条(覚え方 みご(35)とな仕事ぶり!職務専念しとる)
(職務に専念する義務)
第三十五条 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
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教育公務員特例法第18条「公立学校の教育公務員の政治的行為の制限」の規定にあります。地方公務員法第36条第1項に定める行為のほか、政治目的の寄付金に関することや公選による公職の候補者となることなどが禁止されています。
ちなみに一般の地方公務員の場合、所属する地方公共団体の区域外であればできる政治的行為もありますが(地方公務員法第36条第2項)、教育公務員は許されてはいない。
- 教育公務員特例法第18(公立学校の教育公務員の政治的行為の制限)
第18条 公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については、当分の間、地方公務員法第36条の規定にかかわらず、国家公務員の例による。
- 地方公務員法第36条(覚え方 見ろ!36 政治のビラ配ってるぞ!)
(政治的行為の制限)
第三十六条 職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、若しくはこれらの団体の役員となつてはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない。
2 職員は、特定の政党その他の政治的団体又は特定の内閣若しくは地方公共団体の執行機関を支持し、又はこれに反対する目的をもつて、あるいは公の選挙又は投票において特定の人又は事件を支持し、又はこれに反対する目的をもつて、次に掲げる政治的行為をしてはならない。ただし、当該職員の属する地方公共団体の区域(当該職員が都道府県の支庁若しくは地方事務所又は地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市の区若しくは総合区に勤務する者であるときは、当該支庁若しくは地方事務所又は区若しくは総合区の所管区域)外において、第一号から第三号まで及び第五号に掲げる政治的行為をすることができる。
一 公の選挙又は投票において投票をするように、又はしないように勧誘運動をすること。
二 署名運動を企画し、又は主宰する等これに積極的に関与すること。
三 寄附金その他の金品の募集に関与すること。
四 文書又は図画を地方公共団体又は特定地方独立行政法人の庁舎(特定地方独立行政法人にあつては、事務所。以下この号において同じ。)、施設等に掲示し、又は掲示させ、その他地方公共団体又は特定地方独立行政法人の庁舎、施設、資材又は資金を利用し、又は利用させること。
五 前各号に定めるものを除く外、条例で定める政治的行為
3 何人も前二項に規定する政治的行為を行うよう職員に求め、職員をそそのかし、若しくはあおつてはならず、又は職員が前二項に規定する政治的行為をなし、若しくはなさないことに対する代償若しくは報復として、任用、職務、給与その他職員の地位に関してなんらかの利益若しくは不利益を与え、与えようと企て、若しくは約束してはならない。
4 職員は、前項に規定する違法な行為に応じなかつたことの故をもつて不利益な取扱を受けることはない。
5 本条の規定は、職員の政治的中立性を保障することにより、地方公共団体の行政及び特定地方独立行政法人の業務の公正な運営を確保するとともに職員の利益を保護することを目的とするものであるという趣旨において解釈され、及び運用されなければならない。
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退職後も任命権者の許可を受けなければなりません(地方公務員法第34条「秘密を守る義務」)。 この守秘義務は、公務員としての身分を有する限り遵守すべき身分上の義務ですが、退職後であっても、在職中に知り得た秘密の性質は変化しないため、それを漏らすことは許されない。なお「職務上知り得た秘密」には、指導要録や健康診断票の記載事項などがあります。
- 地方公務員法第34条(覚え方 見3てもシー4!秘密やで!)
(秘密を守る義務)
第三十四条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に係る任命権者)の許可を受けなければならない。
- ◯
地方公務員法第33条に定める「信用失墜行為の禁止」については、何がそうした行為に当 たるのか一般的基準に関する法的規定は書かれていませんが、法令・条例・規則等への違反、金銭トラブル、男女関係のもつれ、盗撮、痴漢行為、情報漏洩、飲酒運転や過度のスピード違反などの交通違反、職場でのハラスメントなどが当てはまると考えらます。
懲戒処分を定めた地方公務員法第29条は、処分の基準として、①法令等への違反、②職務上の義務への違反や職務怠慢、③全体の奉仕者たるにふさわしくない非行を挙げており、信用失墜行為は処分の対象となる行為す。せいぜい、私のブラックジョークはギリギリセーフでしょうかね(笑)
- 地方公務員法第33条(覚え方は「耳33を疑う信用失墜行為」
(信用失墜行為の禁止)
第三十三条 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
- 地方公務員法第29条(懲戒)(覚え方は 罪を憎29んで懲戒免職)
第二十九条 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
2 職員が、任命権者の要請に応じ当該地方公共団体の特別職に属する地方公務員、他の地方公共団体若しくは特定地方独立行政法人の地方公務員、国家公務員又は地方公社(地方住宅供給公社、地方道路公社及び土地開発公社をいう。)その他その業務が地方公共団体若しくは国の事務若しくは事業と密接な関連を有する法人のうち条例で定めるものに使用される者(以下この項において「特別職地方公務員等」という。)となるため退職し、引き続き特別職地方公務員等として在職した後、引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合(一の特別職地方公務員等として在職した後、引き続き一以上の特別職地方公務員等として在職し、引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合を含む。)において、当該退職までの引き続く職員としての在職期間(当該退職前に同様の退職(以下この項において「先の退職」という。)、特別職地方公務員等としての在職及び職員としての採用がある場合には、当該先の退職までの引き続く職員としての在職期間を含む。次項において「要請に応じた退職前の在職期間」という。)中に前項各号のいずれかに該当したときは、これに対し同項に規定する懲戒処分を行うことができる。
3 職員が、第二十八条の四第一項又は第二十八条の五第一項の規定により採用された場合において、定年退職者等となつた日までの引き続く職員としての在職期間(要請に応じた退職前の在職期間を含む。)又はこれらの規定によりかつて採用されて職員として在職していた期間中に第一項各号の一に該当したときは、これに対し同項に規定する懲戒処分を行うことができる。
4 職員の懲戒の手続及び効果は、法律に特別の定がある場合を除く外、条例で定めなければならない。
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争議行為は認められていません(地方公務員法 第37条「争議行為等の禁止」)
地方公務員には、憲法第28条の定める労働3権のうち、団結権(地方公務員法第52条)と団体交渉権(同法第55条)は制限付きで認められていますが、団体行動権(争議権)は認められていなのです。
(争議行為等の禁止)
第三十七条 職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。
2 職員で前項の規定に違反する行為をしたものは、その行為の開始とともに、地方公共団体に対し、法令又は条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に基いて保有する任命上又は雇用上の権利をもつて対抗することができなくなるものとする。
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教員には、教育に関する職の兼業・兼職が一部で認められていますが、塾講師、家庭教師など、 営利を目的とするものは認められていません。認められるのは教育雑誌になどへの寄稿とか、教育関連書籍の執筆などで、教員は、あくまで全体の奉仕者たる公務員であり、 —部の利益を追求する営利企業の職に従事することは認められないからです。教員ではない一般の地方公務員は、勤務時間の内外を問わず原則として兼職・兼業は禁止されているのですから、特殊性がある職種と言えますね。
- 地方公務員法第38条(覚え方 見3て!兼業や8ってる!)
(営利企業への従事等の制限)
第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
2 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。
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「懲戒処分」ではなく「分限処分」です(地方公務員法第28条第1項)。分限処分は、制裁を与える懲戒とは異なり、公務能率の維持向上や教員の身分保障を目的としています。道義的責任を問われず、職員の身分の喪失や変動など身分上の変化を内容としています。
- 地方公務員法第28条第1項(覚え方 ニヤ!28 懲戒でなくてよかった)
(降任、免職、休職等)
第二十八条 職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
一 人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合
二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
三 前二号に規定する場合のほか、その職に必要な適格性を欠く場合
四 職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合
2 職員が、左の各号の一に該当する場合においては、その意に反してこれを休職することができる。
一 心身の故障のため、長期の休養を要する場合
二 刑事事件に関し起訴された場合
3 職員の意に反する降任、免職、休職及び降給の手続及び効果は、法律に特別の定がある場合を除く外、条例で定めなければならない。
4 職員は、第十六条各号(第三号を除く。)の一に該当するに至つたときは、条例に特別の定がある場合を除く外、その職を失う。
*ついでに「懲戒処分」と「分限処分」についても、ノートに要点をまとめておこう!