教育法規 「懲戒」と「分限」を理解しておこう
昨日の問題でも出てきた「懲戒」と「分限」。
教育公務員は、全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務しなければならない責務を 負っています。これを確保し、担保する仕組みとして、「懲戒」と「分限」の処分があります。不祥事が教員採用試験でも問われる場合もあり、これらの言葉もセットで覚えておくといいですね。では、この二つを整理しておきましょう。
1 懲戒処分と分限処分の違い
(1) 懲戒処分とは職員の一定の義務違反に対する道義的責任を問うことにより、公務員関係における規律ないし秩序の維持を目的として、任命権者が科す職員の意に反する処分
(2) 分限処分とは公務能率の維持を目的として、一定の事由により科せられる職員の意に反する処分
一言で言うと、こうなりますが堅苦しいのでもっとわかりやすく・・・
2.懲戒処分とは
(1) 意義:職員の一定の義務違反に対して科せられる制裁としての処分です
(2) 目的: 職員の道義的責任の追及による服務規律及び秩序の維持を目的としますで、任命権者が、教職員の服務違反に対して、「制裁」を課すためのものです。
したがって、免職になった場合は、退職金はありません。
「懲戒**」という言われ方が一般的です。「懲戒免職」はニュースでもよく聞きますね。
(3) 種類
懲戒処分は「戒告」「減給」「停職」「免職」の4つがあります。
ア.免職(職員としての身分を失わせる処分)
イ.停職(職員を一定期間職務に従事させない処分)
ウ.減給(職員の給与の一定割合を一定期間減額して支給する処分)
エ.戒告(職員の規律違反の責任を確認するとともに将来を戒める処分)
(4) 処分事由
・法律、条例、規則、規程に違反した場合
・職務上の義務違反及日職務怠慢の場合
・全体の奉仕者に相応しくない非行があった場合となります。
時代によって厳しさの違いは出てきており、ここ最近は公務員への処分は大変厳しいものがあります。酒気帯び運転で定年直前に逮捕されて「懲戒免職」となり、退職金が出ないなんて話もあります。
教育公務員に厳しいのは、教育全体の信頼を損ねてしまうことが大きな理由です。
昔は、ある程度許容された(?)体罰も、きびしい処分が多くされています。また、個人情報を扱う方法もUSBやパソコンのハードディスクに入れる時代になり、情報漏洩も処分の対象になっています。
3 分限処分とは
(1) 意義:職員が一定の事由により、その職責を十分に果たすことが期待しえない場合に、職員の意に反する不利益な身分上の変動をもたらす処分
(2) 目的:公務能率の維持及び公務の適切な運営の確保が目的です
(3) 種類及び処分事由は「免職」「降任」「休職」「降給」の4つ
ア. 免職(職員としての身分を失わせる処分)
勤務実績不良、心身の故障による職務遂行への支障等
適格性欠如、職制・定数の改廃又は予算減少による廃職等
イ.降任(現に占めている職より下位の職に任命する処分)
ウ.休職(職を保有しつつ一定期間職務に従事させない処分)
エ.降給(給料を現在より低い額に決定する処分)
このように懲戒処分と違って、懲罰的な意味合いはありません。あなたは公務員やこの職種に向いていないのではないか、あなたは別の職業に移ったほうがいいのではないかという意味を持った処分です。
ですから、免職になった場合でも退職金が出ます。
任命権者側からすれば、公務の能率的運営を確保するために、法令に基づいて行うものですが、結果的には懲戒処分同様、本人にとっては不利益な処分になりますね。
●懲戒処分については、逆に言えば地方公務員法で定められた教員の「職務上の義務」「身分上の義務」と連携させて覚えておくといいですね。
- 「職務上の義務」3つ
・服務の宣誓(地方公務員法第31条)
・法令等及び上司の職務上の命令に従う義務(地方公務員法第32条)
・職務に専念する義務(地方公務員法第35条)
- 「身分上の義務」5つ
・信用失墜行為の禁止(地方公務員法第33条)
・秘密を守る義務(地方公務員法第34条)
・政治的行為の制限(地方公務員法第36条)
・争議行為等の禁止(地方公務員法第37条)
これらに違反すると「懲戒処分」になる可能性があると言うことにもなりますね!
*覚え方!しっかりマスターしよう!
本日はここまで!