Egurotのブログ

教職勉強会の師範のブログ

新学習指導要領を理解しよう!④ 子どもたちに育成すべき資質・能力

 新学習指導要領について、大きく4つの点が重要としてこれまでお話をしてきました。

もう一度、この図をご覧ください。

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 これまでの二つの話を振り返ってみましょう。

 まず、この図の中心にある(1)「社会に開かれた教育課程」が中心概念、そして(2)それを学校が進める基本的な方法が「カリキュラム・マネジメント」 と進めてきました。

 これらは、いずれもこの図の中心に位置付けられ、周りには大きな三角形を描くように「何ができるようになるか」「何を学ぶのか」「どのように学ぶか」の3つが位置付けられています。

 あれ?冒頭大きな重要な点が4つとしているのに、後3つだと全部で5つになっちゃうな・・・と思う方。そうなんです、一つ多いですね。周りにある3つのうち一つは、他の2つと比べて今回やや重要度が低いので省いているのです。その省かれたものは、左下の「何を学ぶか」です。

 なぜなら、今回の改訂では内容にいくつかの変更点(英語やプログラミング学習など)があるのですが、基本的には「内容の削減は行わない!」姿勢だからです。

 したがって、残る2つの重要テーマは「何ができるようになるか」と「どのように学ぶか」です。

 本日は、先に「何ができるようになるか」について、その最終目標である子どもたちに育成すべき力」についてお話します。

1 子どもたちに育成すべき3つの力

 この答申では,変化の激しい時代を生き抜くために,①「知識及び技能」②「思考力・判断力・表現力など」③「学びに向かう力、人間性など」の3つの柱を育成しなくてはいけないとされました。そしてこれを受け、実際に新学習指導要領では、教育課程全体や各教科などの学びを通じて「何ができるようになるのか」という観点から、この3つの柱からなる「資質・能力」を総合的にバランスよく育んでいくことを目指しています。

 2 3つの柱の関係

「知識及び技能」は、個別の事実的な知識のみでなく、習得した個別の知識を既存の知識と関連付けて深く理解し、社会の中で生きて働く知識となるものも含むものです。

 そして、その「知識及び技能」をどう使うかという、未知の状況にも対応できる「思考力、判断力、表現力など」学んだことを社会や人生に生かそうとする「学びに向かう力、人間性など」を含めた「資質・能力」の3つの柱を、一体的に育成します。

 3 実は学力の3要素として法令に書かれていた!

 実は、この3つの定義は新指導要領で初めて記されたものではありません。すでにこの3つの柱は学校教育法第30条第2項で定める学力の3要素(「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」)と非常に似ています。というか、ほぼ同じと考えても良いでしょう。

 

●学校教育法 第30条第2項

生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない。

 

 ここで大切なのは、この3つの柱を明確にしたことで「学習評価」との整合性も図られたということです。皆さんの通知表もそうですが、それまでは①「関心・意欲・態度」②「思考・判断・表現」③「技能」 ④「知識・理解」で評価をしてきていたのです。でも、前述の通り学校教育法(学習指導要領よりも上位の位置にある法律ですよ!)の30条第2項には3つとなっていた・・・・おかしいですよね。「3つを目標とせよ!」と言いながら、評価は4観点・・・というわけで、今回の大改訂により、目標と評価の数が合うようになりました。(3つ目の言葉はちょっと違いますが・・・)

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 4 今回の学びをどう生かす?

 授業の中でも学習指導案を作成することがあります。また、教育実習でも・・・どうやって書くのか?いい見本はないか?とネットで探すとたくさん出てきますが、ちょいと古いと目標や評価の観点が4つになっているものが多くあります。これを参考にしてはNGですね。

 皆さんは、3つの観点で授業の目標を設定し、評価をする指導案を作成さなくてはなりません。ようやく新学習指導要領も施行期間を終えて本格スタートですので、そろそろ参考になる指導案を目にすることができるでしょう・・・・4つはダメ!3つですよ!

 

さて、今回は4つのうち3番目についてお話ししました。

ここは、しっかり覚えておかないといけません。3つをスラスラ言えるように暗記しましょう!

それでは、この辺で・・・・アディオス!