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教育法規クイズシリーズ4 児童生徒に関する法規(2)

今日は、いじめと児童虐待に関する問題です。以前もやったので楽勝ですね。

昨日の問題に関して、質問がありましたのでここでも答えておきます。

『質問なのですが、本日のブログでの問2の解説で「退学は国立・私立学校に在籍する学齢児童・学齢生徒には行うことができる。」とあるのですが、学齢児童、生徒は義務教育課程であるにも関わらず退学することになるんですか?』(Tくん)

いい質問です!確かに小中学生で退学なんてひどいじゃないか!と思われるでしょう。でも、これは国立と私立の学校限定のお話です。国立といえばお茶の水女子大学附属とは筑波大学附属とか・・・私立はお受験で行っている学校ですね。どちらも、保護者と本人が任意で選択した進学先です。国立は基本的に教育研究機関としての役割もありますので、先生たちが先進的な教育実践をやってみて、その教育効果を検証したりもしています。また、私立は「うちの教育方針に同意したので入れていますよ」ということでもあり、どちらも学校の目的を果たすのを妨げる子どもに、無理にいて欲しくはないのですね。退学させても地元の公立学校には必ず行けますので「退学」をさせることができるのです。ただ、基本的に法律上認めてはいますが、教育機関ですから無闇矢鱈に「退学」を乱発はしませんね・・・

 いい質問をありがとう!みなさんも、わからない、疑問だ!という時は、LINEで連絡ください。

それでは、本日のクイズです!◯か×で答えてください!

 

●児童生徒に関する法規(続き)

09 いじめとは、児童等と一定の人的関係にある他の児童等が、当該児童等に対して心理的または物理的な影響を与える行為で、インタ一ネットを通じて行われるものを含め、当該児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

 

 10 学校の設置者およびその設置する学校は、当該学校におけるいじめを早期に発見するため、いじめが疑われる場合には、当該学校に在籍する児童等に対する調査その他の必要な措置を講ずるものとする。

 

11 教職員、保護者など児童等から相談を受ける者は、児童等からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実があると思われるときは、どのような様態であっても、まず所轄警察署へ通報するものとする。

 

12

学校の設置者またはその設置する学校は、重大事態の発生に関して事実関係等の調査を行ったときは、いじめを行った児童等の保護者の許可を得て、当該調査に係るいじめを受けた児童等およびその保護者に対して、必要な情報を適切に提供するものとする。

 

13

児童虐待とは、児童に身体的、心理的外傷等を直接与える行為を指し、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力は含まれない。

 

14

学校および児童福祉施設は、児童および保護者に対して、児童虐待の防止のための教育または啓発に努めなければならない。

 

15

児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを当該児童が通学する学校またはその学校を設置する市町村教育委員会もしくは 都道府県教育委員会に通告しなければならない。

 

16

都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、 児童委員、児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所または居所に立ち入り、必要な調査または質問をさせることができる。

 

ここから解答編

 

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09 ◯

いじめ防止対策推進法第2条「定義」の規定を改めて確認しておきましょう。

  • (定義)

第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

2 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)をいう。

3 この法律において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。

4 この法律において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。

 

10 ×

「いじめが疑われる場合」ではなく「当該学校に在籍する児童等に対する定期的な調査その 他の必要な措置を講ずるものとする」とされています(いじめ防止対策推進法第16条第1項)。

 

  • (いじめの早期発見のための措置)

第十六条 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校におけるいじめを早期に発見するため、当該学校に在籍する児童等に対する定期的な調査その他の必要な措置を講ずるものとする。

2 国及び地方公共団体は、いじめに関する通報及び相談を受け付けるための体制の整備に必要な施策を講ずるものとする。

3 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校に在籍する児童等及びその保護者並びに当該学校の教職員がいじめに係る相談を行うことができる体制(次項において「相談体制」という。)を整備するものとする。

4 学校の設置者及びその設置する学校は、相談体制を整備するに当たっては、家庭、地域社会等との連携の下、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利その他の権利利益が擁護されるよう配慮するものとする。

 

11 ×

「まず所轄警察署へ通報」は誤り。いじめの相談を受け、その事実があると思われるときは、 いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報その他の適切な措置をとるものとするとあります(いじめ防止対策推進法第23条第1項)。

  • (いじめに対する措置)

第二十三条 学校の教職員、地方公共団体の職員その他の児童等からの相談に応じる者及び児童等の保護者は、児童等からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実があると思われるときは、いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報その他の適切な措置をとるものとする。

 

なお、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認めるときは所轄替察署と連携してこれに対処するとされています(同法同条第6項)。

  • 6 学校は、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認めるときは所轄警察署と連携してこれに対処するものとし、当該学校に在籍する児童等の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは直ちに所轄警察署に通報し、適切に、援助を求めなければならない。

 

12 ×

「いじめを行った児童等の保護者の許可を得て」は誤り(いじめ防止対策推進法第28条第 2項)。

 重大事態とは「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき」を指します(同法同条第1項)。

  • (学校の設置者又はその設置する学校による対処)

第二十八条 学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。

一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。

二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。

2 学校の設置者又はその設置する学校は、前項の規定による調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとする。

 

13 ×

 心理的虐待は、「児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭に おける配偶者に対する暴力その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと」とされており、配偶者への暴力も含まれます。(児童虐待の防止等に関する法律第2条第四号)。  

また、 配偶者には、婚姻の届出をしておらず、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含みます。また、児童虐待には、このほか身体的虐待、性的虐待、ネグレクトがある。

第二条 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。

一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。

二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。

三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。

四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

 

14 ◯

 児童虐待の防止等に関する法律第5条では、学校や教職員など児童の福祉に業務上関係のある 団体や職務上関係のある者に対して「早期発見に努めなければならない」と定めるとともに、学校および児童福祉施設に教育および啓発の努力義務を課しています。

 現在コロナで学校がお休みですが、虐待されている児童生徒の発見が遅れるのが気がかりですね。

第五条 学校、児童福祉施設、病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。

2 前項に規定する者は、児童虐待の予防その他の児童虐待の防止並びに児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援に関する国及び地方公共団体の施策に協力するよう努めなければならない。

3 学校及び児童福祉施設は、児童及び保護者に対して、児童虐待の防止のための教育又は啓発に努めなければならない。

 

15 ×

児童虐待に関わる通告は、学校や教育委員会ではなく「市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所」に行うとあります(児童虐待の防止等に関する法律第6条第1項)。

また、この通告は「児童虐待を受けたと思われる」だけでもOKです!。また、守秘義務に関する法律の規定は、児童虐待を通告する義務の遵守を妨げるものと解釈してはならないと定めています(同法同条第3項)。

第六条 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。

2 前項の規定による通告は、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十五条の規定による通告とみなして、同法の規定を適用する。

3 刑法(明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第一項の規定による通告をする義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない。

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16 ◯

児童虐待の防止等に関する法律第9条「立入調査等」の規定を読むと、学校や教職員は、児童虐待が行われているおそれがある場合に介入する役割を担っていないことがわかります。

  • (立入調査等)

第九条 都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させ、関係者の請求があったときは、これを提示させなければならない。

2 前項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り及び調査又は質問は、児童福祉法第二十九条 の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り及び調査又は質問とみなして、同法第六十一条の五 の規定を適用する。