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教育法規クイズシリーズ5 教職員に関する法規(1)

今回は、教職員に関する法規の問題です。今回も◯×で答えてください!簡単だ!と思える人は、その理由も言ってみよう。

免許状から条件付き採用など・・・盛りだくさんです。

この辺りは、面接時にふと聞かれる可能性があります。何条だったか知っていて損なことはありませんので、覚えられたら覚えちゃいましょう!

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01 日本国憲法は「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と定めている。

 

02 法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。

 

03 教員の免許状には、普通免許状、特別免許状、臨時免許状の3種類があり、それぞれの有効期間は普通免許状が授与の日の翌日から起算して10年間であるのに対し、特別免許状は5年間、臨時免許状は3年間となっている。

 

04 養護や栄養の指導および管理をつかさどる教諭等および理療、理学療法、自立活動の教授を担任する教員を除き、特別支援学校の教員は、原則として特別支援学校の教員の免許状のほか、特別支援学校の各部に相当する学校の教員の免許状を有する者でなければならない。

 

05 免許状の更新を申請する際、免許管理者が受ける必要のないものとして認めた者以外の教員は、20時間以上の免許状更新講習の課程を修了しなければならない。

 

06 公立小学校の教諭の採用および昇任は、競争試験によるものとし、その試験は、大学附置の学校以外の公立学校(幼保連携型認定こども園を除く)においては、 教員の任命権者である教育委員会の教育長が行う。

 

07 臨時的任用または非常勤職員の任用の場合を除き、公立学校の教員を含めた地方公務員の採用は、全て条件付であり、その職員がその職において6力月間その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になるものとする。

 

08 公立の小学校等の校長・教員の任命権者は、文部科学大臣の定める指針を参酌し、地域の実情に応じて、職責、経験および適性に応じて向上を図るべき校長・教員としての資質に関する指標を定めることが義務付けられている。

 

ここからは解答編です。

難しかったかな?

解答の下にある条文をしっかり読むこと!

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01 ◯

日本国憲法第15条第2項は、公務員の本質について定めた規定です。この規定に基づき、地方公務員法第30条では「服務の根本基準」として「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、かつ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」と定めています。

2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない

すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。

 

02  ◯

教育基本法第9条第1項「教員」の規定に示されています。これは国公私立学校すべての教員のあり方について定めたものです。同法第2項では、教員の使命と職貴の重要性に鑑み、身分の尊重と待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならないことを定めています。

法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。

2 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。

 

03  ×

免許状の種類は普通、特別、臨時免許状の3種類ですね。この問題の「特別免許状の有効期間」は「5年間」ではなく「10年間」です(教育職員免許法第9条第2 項)。

なお、免許状の有効区域は、普通免許状がすべての都道府県であるのに対し、特別免許状および臨時免許状は、地域の実情に応じて授与されるため、授与された都道府県でのみ有効であることも押さえておきましょう。(同法同条第1項〜第3項)。

普通免許状は、その授与の日の翌日から起算して十年を経過する日の属する年度の末日まで、すべての都道府県(中学校及び高等学校の教員の宗教の教科についての免許状にあつては、国立学校又は公立学校の場合を除く。次項及び第三項において同じ。)において効力を有する。

2 特別免許状は、その授与の日の翌日から起算して十年を経過する日の属する年度の末日まで、その免許状を授与した授与権者の置かれる都道府県においてのみ効力を有する。

3 臨時免許状は、その免許状を授与したときから三年間、その免許状を授与した授与権者の置かれる都道府県においてのみ効力を有する。

 

04 ◯

教育職員免許法第3条第3項に書かれた内容です。特別支援学校の教員は、原則として、普通免許状に加えて、特別支援学校の教員の免許状を有していなければなりません。ただし、教育職員免許法附則16には、上記の規定にかかわらず、「当分の間」幼稚園、小学校、中学校または高等学校の教諭の免許状を有する者は、特別支援学校の相当する各部の主幹教諭(養護または栄養の指導および管理をつかさどる主幹教論を除く)、指導教論、 教論または講師となることができるとしています。実際のところ「特別支援学校の教員免許状」を有している者が少ないため、かなりの先生方が免許状がないまま指導をしています。

特別支援学校の教員(養護又は栄養の指導及び管理をつかさどる主幹教諭、養護教諭養護助教諭栄養教諭並びに特別支援学校において自立教科等の教授を担任する教員を除く。)については、第一項の規定にかかわらず、特別支援学校の教員の免許状のほか、特別支援学校の各部に相当する学校の教員の免許状を有する者でなければならない。

第3条の規定にかかわらず、幼・小・中・高の教諭免許状を有する者は、「当分の間」特別支援学校の相当する部の教諭等となることができる。

 

05 ×

「20時間以上」ではなく「30時間以上」教育職員免許法第9条の3第2項)です。免許状更新講習は、免許状を有するすべての者が受けられるわけではなく、①現に教育職員か文部科学省令で定める教育の職にある者、②教育職員に任命され、または雇用されることが予定されている者およびこれに準ずるものとして文部科学省令で定める者、に限られています(同法同条第3項)。

2 前項に規定する免許状更新講習(以下単に「免許状更新講習」という。)の時間は、三十時間以上とする。

3 免許状更新講習は、次に掲げる者に限り、受けることができる。

一 教育職員及び文部科学省令で定める教育の職にある者

二 教育職員に任命され、又は雇用されることとなつている者及びこれに準ずるものとして文部科学省令で定める者

 

06 ×

「競争試験」ではなく「選考」です。(教育公務員特例法第11条「採用及び昇任の方法」)。一般の地方公務員の採用は「競争試験」により、成績順に採用されますが(地方公務員法第17条の2第1項)、教員はその職務の特殊性から、競争試験以外の能力の実証に基づく試験 である「選考」により採用される。ですので、知識だけで教員採用試験は合格せず、面接や集団討論、実技などの総合的な判断で採用が決まります。これが「選考」ですね。

  • 教育公務員特例法第11条(採用及び昇任の方法)

公立学校の校長の採用(現に校長の職以外の職に任命されている者を校長の職に任命する場合を含む。)並びに教員の採用(現に教員の職以外の職に任命されている者を教員の職に任命する場合を含む。以下この条において同じ。)及び昇任(採用に該当するものを除く。)は、選考によるものとし、その選考は、大学附置の学校にあつては当該大学の学長が、大学附置の学校以外の公立学校(幼保連携型認定こども園を除く。)にあつてはその校長及び教員の任命権者である教育委員会の教育長が、大学附置の学校以外の公立学校(幼保連携型認定こども園に限る。)にあつてはその校長及び教員の任命権者である地方公共団体の長が行う。

人事委員会を置く地方公共団体においては、職員の採用は、競争試験によるものとする。ただし、人事委員会規則(競争試験等を行う公平委員会を置く地方公共団体においては、公平委員会規則。以下この節において同じ。)で定める場合には、選考(競争試験以外の能力の実証に基づく試験をいう。以下同じ。)によることを妨げない。

 

07  ×

公立の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校等の教諭、 助教論等の条件付採用期間は「6力月間」ではなく「1年間」となっています(教育公務員特例法第 12条第1項)。ただし、ここに記載のない栄養教諭養護教諭は一般の地方公務員と同様「6 ヶ月間」とされています地方公務員法第22条 第1項)。不思議です・・・・

  • 教育公務員特例法第12条第1項(条件付任用)

公立の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、幼稚園及び幼保連携型認定こども園(以下「小学校等」という。)の教諭、助教諭、保育教諭、助保育教諭及び講師(以下「教諭等」という。)に係る地方公務員法第22条に規定する採用については、同条中「6月」とあるのは「1年」として同条の規定を適用する。

1 臨時的任用又は非常勤職員の任用の場合を除き、職員の採用は、すべて条件附のものとし、その職員がその職において六月を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になるものとする。この場合において、人事委員会は、条件附採用の期間を一年に至るまで延長することができる。

 

08 ◯

教育公務員特例法第22条の3第1項に示されています。 教育公務員特例法の改正により、2017年4月より新たな研修の仕組みがスタートしました。

文部科学大臣の定める指針」は、①公立の小学校等の校長・教員の資質の向上に関する基本的な事項、②指標の内容に関する事項、③資質の向上を図るに際し配慮すべき事項に関して定められている(同法第22条の2第1項、第2項)。

  • 教育公務員特例法

第22条の2(校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針) 

文部科学大臣は、公立の小学校等の校長及び教員の計画的かつ効果的な資質の向上を図るため、次条第1項に規定する指標の策定に関する指針(以下「指針」という。)を定めなければならない。

2 指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 公立の小学校等の校長及び教員の資質の向上に関する基本的な事項

二 次条第1項に規定する指標の内容に関する事項

三 その他公立の小学校等の校長及び教員の資質の向上を図るに際し配慮すべき事項