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教育法規クイズシリーズ3 児童生徒に関する法規(1)

今日は「児童生徒に関する法規」からの出題です。

体罰や懲戒、出席停止など基本的なことですので、しっかり理解しましょう。

この辺りは、集団討論などのテーマで「困った子へ先生はどう対応すべきか」のような内容が出たときに、知っておくと使える知識ですね。

今回も◯か×で答えてみよう!(しばらくして2回目に挑戦する場合は、解説の内容も言葉にできるか確かめてみよう!)

 

01

校長および教員は、文部科学大臣の定めるところにより、教育上必要と認められる場合には、懲戒を加えることができるが、いかなる場合も体罰を加えることはできない。

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 02

懲戒のうち、法的な効果を伴う退学および停学は、国公私立すベての小学校、中学校、義務教育学校または特別支援学校に在学する学齢児童または学齢生徒に対しては行うことができない。

 

03

他の児童生徒に被害を及ぼすような暴力行為に対して、これを制止したり、目前の危険を回避したりするために教師がやむを得ずした有形力の行使についても、それにより肉体的苦痛を与えた場合には体罰に該当する。

 

04

懲戒として、授業中、教室内に起立させること、学習課題や清掃活動について他の児童生徒より多くの負担を課すことは、肉体的苦痛を与えない限り認められる。

 

05

 市町村の教育委員会は、他の児童生徒への暴力行為や授業を妨害する行為を繰り返すなど性行不良で、他の児童生徒の教育に妨げがあると認める児童生徒があるときは、その児童生徒の保護者に対して、出席停止を命ずることができる。

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06

性行不良の児童生徒に対する出席停止は、懲戒ではなく、学校の秩序を維持し、他の児童生徒の教育を受ける権利を保障するための措置である。

 

07

出席停止を命じる場合には、必ず文書で出席停止の理由および期間を説明しなければならない。

 

08

性行不良による出席停止期間中は、事実上の謹慎処分であり、学習に対する支援その他の教育上必要な措置は講じられない。

 

ここからは、解答編です。説明もしっかり読んで頭に入れよう!

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01  ◯

学校教育法第11条は「体罰は加えることはできない」と定めており、それは「いかなる場合も」許されないこととされています。文部科学省体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)」(2013年3月))。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1331907.htm

 なお、児童生徒に対する懲戒には、訓戒や叱責など日常の教育活動の中で行われる「事実上の懲戒」と、退学・停学等法的な措置である「処分としての懲戒」(学校教育法施行規則第26条)があることもついでに覚えましょう。

  • 第 26 条

校長及び教員が児童等に懲戒を加えるに当っては、児童等の心身の発達に応ずる等教育上必要な配慮をしなければならない。

2 懲戒のうち、退学、停学及び訓告の処分は、校長(大学にあっては、学長の委任を受 けた学部長を含む。)が行う。

 3前項の退学は、公立の小学校、中学校(学校教育法第 71 条の規定により高等学校における教育と一貫した教育を施すもの(以下「併設型中学校」という。)を除く。)、義務教育学校又は特別支援学校に在学する学齢児童又は学齢生徒を除き、次の各号のいずれかに該当する児童等に対して行うことができる。

一 性行不良で改善の見込がないと認められる者

二 学力劣等で成業の見込がないと認められる者

三 正当の理由がなくて出席常でない者

四 学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者

4 第2項の停学は、学齢児童又は学齢生徒に対しては、行うことができない。

 

02  ×

 退学は国立・私立学校に在籍する学齢児童・学齢生徒には行うことができる(学校教育法施 行規則第26条第3項 ↑まさにこのすぐ上に書いてあるね)。

 停学は、教育を受ける権利の保障(就学義務)の観点から、すべての学齢児童・学齢生徒に対して行うことができない(同施行規則第26条第4項 ↑これもすぐ上に書いてあるね)。

 

03  ×

 体罰には該当しない。また、他教員等に対する暴力行為に対して、教員等が防衛のためにやむを得ずした有形力の行使についても、同様に体罰に当たらない。正当防衛または正当行為等として刑事上または民事上の責めを免れうるとされている(01で書いた、文部科学省通知(2013年3月))。https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1331907.htm

 

04  ◯

 体罰とは「懲戒の内容が、殴る、蹴る等身体に対する侵害を内容とするもの、正座・直立等 特定の姿勢を長時間にわたって保持させる等児童生徒に肉体的苦痛を与えるようなもの」であり、それに当たらない限りにおいて、正当な懲戒として認められる。(これも01で書いた、文部科学省通知 (2013 年 3 月))。

 

05  ◯

学校教育法第35条にこう書かれています。

  • 第三十五条 市町村の教育委員会、次に掲げる行為の一又は二以上を繰り返し行う等性行不良であって他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる。

 一 他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為

 二 職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為

 三 施設又は設備を損壊する行為

 四 授業その他の教育活動の実施を妨げる行為

2 市町村の教育委員会は、前項の規定により出席停止を命ずる場合には、あらかじめ保護者の意見を聴取するとともに、理由及び期間を記載した文書を交付しなければならない。

3 前項に規定するもののほか、出席停止の命令の手続に関し必要な事項は、教育委員会規則で定めるものとする。

4 市町村の教育委員会は、出席停止の命令に係る児童の出席停止の期間における学習に対する支援その他の教育上必要な措置を講ずるものとする。

 国民の就学義務に相反する重要な措置であることなので、学校長ではなく市町村教育委員会の権限と責任において行われるものとされています。そして、休むにあたって保護者の同意と休んでいる時の学習の支援も行うことなど・・・法律をしっかり読んでおこう。

 

06  ◯

 性行不良による出席停止は「懲戒」ではありません。 教育を受ける権利を保障する義務教育である以上、問題行動を起こす児童生徒に対して、まず日頃からの生徒指導を充実することが必要であり、学校が最大限の努力を行っても解決せず、 他の児童生徒の教育が妨げられている場合にやむをえず出席停止の措置が講じられることになるのです。

 

07  ◯

 市町村の教育委員会が出席停止を命ずる場合 には、「あらかじめ保護者の意見を聴取するとともに、理由及び期間を記載した文書を交付しなければならない」(↑上に書いてあるので見てね!学校教育法第35条第2項)。

 

08  ×

 性行不良による出席停止では自宅謹慎、自宅学習等を命ずることは法令上許されておらず、 「市町村の教育委員会は、出席停止の命令に係る児童の出席停止の期間における学習に対する支援その他の教育上必要な措置を講ずるものとする」とされている(↑上に書いてあるので見てね!学校教育法第35条第4項)。

 なお、期間について具体的な日数は定められていませんが、当然のこととして出席停止が教育を受ける権利に関わる措置であることから、可能な限り短い期間となるよう配慮する必要があるとされています。