Egurotのブログ

教職勉強会の師範のブログ

教育法規クイズシリーズ1 学校の管理運営に関する法規(1)

さて、来週からはいよいよ授業再開ですね。

ここしばらくは、このブログもかるーく教育法規をおさらいして、知識を確認していこうと思います。教育法規クイズシリーズ 第1弾は 「学校の管理運営に関する法規」です。

◯か×で答えてください。解答をしっかり読んで深い理解になるようにしましょう。

 

●01 学校教育法では、法律上、学校を「幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校専修学校及び各種学校」と定めている。

 

 

●02 都道府県は、その区域内にある学齢児童および学齢生徒のうち、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者肢体不自由者または病弱者で、その障害が政令に定める 一定の程度のものを就学させるための特別支援学校を設置しなければならない。

 

 

●03 小学校の教育課程ついては、教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する 小学校学習指導要領に基づいて編成しなければならない。

 

 

●04 修業年限が3年を超える定時制の課程を置く高等学校および中等教育学校の後期課程においては、最終学年を4月1日に始まり9月30日に終わるものとすることができる。

 

 

●05 国または地方公共団体の設置する学校は、特定の政党を支持し、またはこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならないが、私立学校はこの限りでない。

 

 

●06 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校には、学校の教育活動など学校運営の状況に関する情報を積極的に提供する義務がある。

 

 

●07 小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校おいては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書または文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。

 

 

●08 営利を目的として設置されるものも含め、学校その他の教育機関において教育を担任する者・授業を受ける者は、その授業の過程での使用を目的とする場合に、必要と認められる限度で、公表された著作物を複製することができる。

 

 

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 ここからは解答編です。

正解だったかだけでなく、関連法規もしっかりメモして覚えるようにしよう!

 

  1. ×

専修学校」「各種学校」は学校教育法上の「学校」に含まれません。学校教育法第1条に定める「学校」は、「公の性質」を有するものとしてさまざまな規制の中で運営されています。例えば、学校を設置できるのは国、地方公共団体、法律に定める法人に限定されていますね。(教育基本法第6条)。勝手に学校は作れません・・・・

義務教育学校」とは小中一貫教育を行う学校であり、2016年4月より加わっています。

 

義務教育段階の学校のうち、特別支援学校(小学部、中学部)は都道府県の設置義務です(学校教育法第80条)。小学校、中学校については市町村に設置義務が課されており、教育上有益かつ適切であると認めるときは、義務教育学校の設置をもってこれに代えることができ る(同法第38条、第49条)とされています。

●学校教育法 第80条 都道府県は、その区域内にある学齢児童及び学齢生徒のうち、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者肢体不自由者又は病弱者で、その障害が第七十五条の政令で定める程度のものを就学させるに必要な特別支援学校を設置しなければならない。

 

この法令は「学校教育法施行規則第52条」です。

●<第52条>(教育課程の基準)

小学校の教育課程については、この節に定めるもののほか、教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する小学校学習指導要領によるものとする。

 

なお、教育課程とは、「学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容を児童の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画」であり、各学校において編成されます(「小学校学習指導要領解説総則」)。

 

学校教育法施行規則第104条第2項

●第104条 2 前項の規定において準用する第59条の規定にかかわらず、修業年限が3年を超える定時制の課程を置く場合は、その最終の学年は、4月1日に始まり、9月30日に終わるものとすることができる。

 

高等学校の修業年限は、全日制の課程は3年、定時制の課程および通信制の課程は3年以上(学校教育法第56条)。定時制および通信制の課程においてはその修業年限を定めるにあたっては、教育上適切な配慮をするよう努めることとされている(学校教育法施行規則第 102条)。

なお、学年は原則としては4月1日から3月31日までである(同施行規則第59条)。

●第五十九条 小学校の学年は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。

*小学校と書かれているが、ほかの学校種も同じ・・・

 

  1. ×

教育基本法第14条第2項は「法律に定める学校」に対して、政治的中立性を求めています。 ですから私立学校であっても、当然、特定の政党を支持または反対するための政治教育や政治活動を禁止しています。

 

学校教育法第43条「情報の提供」の規定ですね。 これは同法第42条に定める「学校評価」の規定とペアになっており、保護者や地域住民の理解と協力を得て、学校運営の改善を図るために重要な規定となっているのです。

●第四十二条 「小学校は、文部科学大臣の定めるところにより当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について評価を行い、その結果に基づき学校運営の改善を図るため必要な措置を講ずることにより、その教育水準の向上に努めなければならない。」

●第四十三条 「小学校は、当該小学校に関する保護者及び地域住民その他の関係者の理解を深めるとともに、これらの者との連携及び協力の推進に資するため、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとする。」

 

学校・保護者・地域の連携は「教育基本法第13条」にでも求められているのも重要!

●第13条 学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役 割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。 家庭教育は全ての教育の出発点であり、人格形成の原点である。

 

学校教育法第34条等を参照。ただし、高等学校、中等教育学校の後期課程、特別支援学校、 特別支援学級では当分の間、他の教科書を使用可能とする教科書使用の経過措置がとられています。(学校教育法附則第9条)。

これは、高等学校の教科が多岐にわたっていて全ての教科書を用意できないこと。そして、障がいのある子どもたちへの教科書も、個人差や障がい種によって様々な選択肢があることからそうなっています。ちなみに、特別支援教育では「9条本」と称しています。

  1. ×

教員にとって重要な「著作権」の条文はしっかり覚えておきましょう!

●第35条  学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。) において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における利用に供すること を目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製し 、若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあっては、送信可能化を含む。

 

授業で使用する場合は、基本的に著作権の許諾を取らなくても良いという法令です。

ただし、販売するなど「営利を目的として設置されるもの」は除かれます(著作権法第35条「学校その他の教育機関における複製等」の規定)。

また、ドリルの全ページをコピーして、クラスの子どもたちに配布することなど必要以上に複製することも認められていません。一方、入学試験その他、人の学識技能に関する試験または検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験または検定の問題として複製することは可能です (同法第36条)。

 

最近は、デジタル化も進んできているので、著作権の解釈や運用の指針が新しく示されていますので、確認しておきましょう。

https://forum.sartras.or.jp/info/004/