教育法規クイズシリーズ2 学校の管理運営に関する法規(2)
学校の管理運営に関する法規問題の続きです。
教育法規は40くらい大切な法規を覚えれば、大丈夫!
前回同様、いろいろな法規名が混在しますが、法規名でまとめても、学校の管理運営、児童生徒関連法規、教職員の服務などのカテゴリーでまとめてもよし!
答え合わせと同時に、自分なりのまとめ方でノートに整理していけば大丈夫です。
4年生は、同時に暗記していくことが求められますが。2、3年生はまだまだ余裕があるので、自分にあった学習方法を編み出すように工夫してみましょう。
- 10 小学校には、設置者の定めるところにより、校長の職務の円滑な執行に資するため、補助機関としての職員会議を置かなければならない。
- 11 学校は、いじめ防止基本方針または地方いじめ防止基本方針を参酌し、その学校の実情に応じ、当該学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものとする。
- 13 非常変災その他急迫の事情があるときは、校長は、臨時に授業を行わないことができる。
- 14 校長は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部または一部の休業を行うことができるとともに、感染症にかかっているか、かかっている疑いがある、またはかかるおそれのある児童生徒等があるときは、出席を停止させることができる。
- 15 市町村の教育委員会は、翌学年の初めから当該小学校に就学させるべき者で、その区域内に住所を有するものの就学に当たって、その健康診断を行わなければならない。
- 16 養護教諭その他の職員は、相互に連携して、健康相談または児童生徒等の健康状態の日常的な観察により、児童生徒等の心身の状況を把握し、健康上の問題があると認めるときは、遅滞なく、当該児童生徒等に対して必要な指導を行い、必要に応じて保護者に必要な助言を行う。
ここからは解答編です!
- 9. ×
「教育委員会」ではなく「校長」が作成するのが正解。 また転学先には、「原本」ではなく「写し」と、 これまでの進学の際に引き継がれた抄本または 写しを送付する(学校教育法施行規則第24条)となっています。
- 第二十四条 校長は、その学校に在学する児童等の指導要録(学校教育法施行令第三十一条に規定する児童等の学習及び健康の状況を記録した書類の原本をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。
2 校長は、児童等が進学した場合においては、その作成に係る当該児童等の指導要録の抄本又は写しを作成し、これを進学先の校長に送付しなければならない。
指導要録とは、「児童生徒の学籍」と「指導の過程及び結果の要約」を記録し、その後の指導及び外部に対する証明等に役立たせるための原簿です。
毎学期出す、通知表とは違って1年の最後に1年間の総合評価を書くものです。学校では耐火金庫に保管されています。
保存義務は、昔はどちらも20年でしたが、現在は「指導に関する記録」は5年、「学籍に関する記録」は20年となっています。(同施行規則第28条第2項)。
●第二十八条 学校において備えなければならない表簿は、概ね次のとおりとする。
一 学校に関係のある法令
二 学則、日課表、教科用図書配当表、学校医執務記録簿、学校歯科医執務記録簿、学校薬剤師執務記録簿及び学校日誌
三 職員の名簿、履歴書、出勤簿並びに担任学級、担任の教科又は科目及び時間表
四 指導要録、その写し及び抄本並びに出席簿及び健康診断に関する表簿
五 入学者の選抜及び成績考査に関する表簿
六 資産原簿、出納簿及び経費の予算決算についての帳簿並びに図書機械器具、標本、模型等の教具の目録
七 往復文書処理簿
2 前項の表簿(第二十四条第二項の抄本又は写しを除く。)は、別に定めるもののほか、五年間保存しなければならない。ただし、指導要録及びその写しのうち入学、卒業等の学籍に関する記録については、その保存期間は、二十年間とする。
- 10. ×
職員会議は置くことができる任意設置の会議である(学校教育法施行規則第48条第1項)とあります。
- 第四十八条 小学校には、設置者の定めるところにより、校長の職務の円滑な執行に資するため、職員会議を置くことができる。
2 職員会議は、校長が主宰する。
職員会議は議決機関ではなく、校長の職務の円滑な執行に資する補助機関として位置付けられています。
- 11. 〇
いじめ防止対策推進法第13条は、学校に対して「学校いじめ防止基本方針」の策定を義務 付けています。
- (学校いじめ防止基本方針)
第十三条 学校は、いじめ防止基本方針又は地方いじめ防止基本方針を参酌し、その学校の実情に応じ、当該学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものとする。
なお、いじめ防止基本方針は国に策定義務が課されており(同法第11条)、2013年10月に策定されています。地方公共団体に対しては策定の努力義務が課されています(同法第12条)。
- 12. ×
「副校長」は置くことができる職であり、「教頭」は置かなければならない職であるとされています(学校教育法第37条第1項・第2項)。なお、教頭は、副校長を置くときその他特別の事情のあるときは置かないことができる(同法同条第3項)とあります。
*学校教育法の37条は、校長以下・・・・教諭、事務職員、養護教諭、講師など「みんな」の職種の説明となっている。試験で職名関連の質問があったら「みんな(37)!学校教育法37条だ!」と思いだそう。
- 13. 〇
「非常変災その他急迫の事情」には、例えば 台風、地震、事故、事件、交通ストライキなどが挙げられます。臨時休業をする場合には、校長はこの旨を教育委員会に報告しなければならないとあります(学校教育法施行規則第63条)。
第六十三条 非常変災その他急迫の事情があるときは、校長は、臨時に授業を行わないことができる。この場合において、公立小学校についてはこの旨を当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会(公立大学法人の設置する小学校にあつては、当該公立大学法人の理事長)に報告しなければならない。
- 14. ×
感染症の予防上必要があるときの学校の臨時 休業は「校長」ではなく、「学校の設置者」に 行う権限があります(学校保健安全法第20条)。
休業が全体の場合は休校、一部の場合は学年閉鎖、学級閉鎖となる。感染症予防のための児童生徒等の出席停止は校長が行う(同法第19条)とあります。
- 15. 〇
いわゆる就学時健診のことである(学校保健安全法第11条)。
- (就学時の健康診断)
第十一条 市(特別区を含む。以下同じ。)町村の教育委員会は、学校教育法第十七条第一項の規定により翌学年の初めから同項に規定する学校に就学させるべき者で、当該市町村の区域内に住所を有するものの就学に当たって、その健康診断を行わなければならない。
この健康診断で、障害の有無などを把握し、就学すべき学校を決定する際に役立てることとなります。なお、毎学年定期に行われる健康診断は学校に実施の義務がある(学校保健安全法第13条)。
- (児童生徒等の健康診断)
第十三条 学校においては、毎学年定期に、児童生徒等(通信による教育を受ける学生を除く。)の健康診断を行わなければならない。
2 学校においては、必要があるときは、臨時に、児童生徒等の健康診断を行うものとする。
具体的には「毎学年、6月30日まで」に行うとされています(学校保健安全法施行規則第5条第1項)。
- (時期)
第五条 法第十三条第一項 の健康診断は、毎学年、六月三十日までに行うものとする。ただし、疾病その他やむを得ない事由によつて当該期日に健康診断を受けることのできなかつた者に対しては、その事由のなくなつた後すみやかに健康診断を行うものとする。
•16 〇
学校保健安全法第9条「保健指導」に書かれています。
- (保健指導)
第九条 養護教諭その他の職員は、相互に連携して、健康相談又は児童生徒等の健康状態の日常的な観察により、児童生徒等の心身の状況を把握し、健康上の問題があると認めるときは、遅滞なく、当該児童生徒等に対して必要な指導を行うとともに、必要に応じ、その保護者(学校教育法第十六条に規定する保護者をいう。第二十四条及び第三十条において同じ。)に対して必要な助言を行うものとする。
保健指導は、児童生徒等の健康上の問題を、児童生徒が自ら積極的に解決する自主的、実践的な態度を育成するために行われ、保護者への働きかけも含まれる。偏った栄養摂取、食生活の乱れや肥満・痩身傾向、アレルギーなど、近年は子どもたちの健康にはさまざまな課題があることから、保健指導、健康相談の重要性が高まっています。
*詳しくは、文部科学省「教職員のための子どもの健康相談及び保健指導の手引」(2011年8月)を参照