日本の子どもの貧困率が高い!「子供の貧困対策に関する大綱」
1 日本人の◯人に1人が「貧困層」
「貧困率」とは、低所得者の割合を示す指標です。日本と「貧困」結びつかないようですが
実は、厚生労働省の報告書によると、日本の子ども(17歳以下)の貧困率は13.9%(2015年)となっているのをご存知でしたか?。つまり、7人に1人の子どもが貧困状態に陥っています。OECDの2014年調べの統計では、日本は先進国の中でも34カ国中10番目に貧困率が高く、深刻な問題となっているのです。
(グラフは「チャンス・フォー・チルドレン」のHPより)
例えばこんなデータも一つの例です。
◯生活保護世帯に属する子どもの
高等学校等進学率 93.7%(平成30年4月1日現在)
高等学校等中退率 4.1%(平成30年4月1日現在)
大学等進学率 36.0%(平成30年4月1日現在)
○ ひとり親家庭の子どもの進学率
中学校卒業後 95.9% (平成28年11月1日現在)
高等学校等卒業後 58.5%(平成28年11月1日現在)
日本は世界の中で先進国ですが、「貧困率」が高いというのは驚きだったでしょう。
気が付きにくいのですが、学級や学校の中には、意外に「生活が苦しい」という児童生徒が多いのです。
「豊かな国日本!」と、目の前の子どもたちを皆同じ生活レベルと思ってはいけません。それぞれの家庭には、それぞれの悩みもあります。このことを念頭において、子ども達や保護者と接することはとても大切です。
そこで、つい最近2019年に「子供の貧困対策に関する大綱」が5年ぶりに改定された内容について、確認しておきましょう。
◆「子供の貧困対策に関する大綱」
https://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/pdf/r01-taikou_gaiyou.pdf#search=%27子供の貧困対策に関する大綱%27
ちなみに、この大綱は、文部科学省ではなく内閣府から出されています。
2「子供の貧困対策に関する大綱」の目的
新しい大綱には、大綱の目的に
①現在から将来に渡って、全ての子どもたちが、前向きな気持ちで夢や希望を持つことができる社会の構築を目指す。
②子育てや貧困を家庭のみの責任とするのではなく、地域や社会全体で課題を解決するという意識を強く持ち、子どものことを第一に考えた適切な支援を包括的かつ早期に講じる。
の二つをあげています。
①の文言は、何て素敵な言葉でしょう。これは、あなた方が教員としてあるべき姿そのままに使えそうな言葉ですね。面接の時にぽろっとこのような言葉が飛び出てくると、一発満塁ホームランです!
3 大綱の基本方針は3本の柱
新大綱では
1 親の妊娠・出産期から子どもの社会的自立までの切れ目のない支援
2 支援が届かない又は届きにくい子ども・家庭への配慮
3 地方公共団体による取組の充実
この3つを指針として、支援策を推進させていくとしています。
(1の「切れ目のない支援」も使い勝手の良いキーワードですね。「特別支援教育」でも使えそうです。)
支援の対象範囲は4つ
1 教育の支援
・学力保証、高校中退防止、中退後の支援
2 生活の安定への支援
・妊娠、出産期からの切れ目のない支援・困難を抱えた女性への支援
・生活困窮家庭の親の自立支援
3 保護者に対する職業生活の安定と向上のための就労支援
4 経済的支援
どの支援も必要ですが、先に挙げた「高校への進学率」などの教育への支援は、学校教育における大きな責任となりますので、面接や集団討論でこのテーマについて聞かれたときは、まず「貧困が理由の学力低下は、学校と教師が総力を挙げて食い止めなければならない」という意気込みを発言したいですね。