Egurotのブログ

教職勉強会の師範のブログ

近頃よく耳にしない?「児童虐待」について理解しよう

1 最近よくニュースで耳にする痛ましい事件

 幼い命が失われる児童虐待のニュースは、ここ最近多く目にするようになっていますね。
 野田市の事件は、千葉を受験するみなさんにとっては、しっかり事件の概要を把握しておいてほしいものです。
 このように、「児童虐待防止」についてはは、喫緊の課題で注目されていることから、教員採用試験で、問われる可能性は極めて大きいです。
 採用試験では、2000 年に制定された「児童虐待の防止等に関する法律」(以下、児童虐待防止法という)と、2020年4月から施行される「改正児童虐待防止法」について問われるでしょう。

 そこで、今回は「児童虐待の現状」と「児童虐待防止法」の中身について詳しくみていきます。

2 児童虐待の現状

 厚生労働省から平成30年度の児童相談所による児童虐待相談対応件数が公表されています。件数は15万9850件で、前年度より2万6072件(19.5%)増え、過去最多を更新しました。対応件数の内訳は、心理的虐待88389 (55.3%)、身体的虐待40256 (25.2%)、ネグレクト29474 (18.4%)、性的虐待1、731 (1.1%)となっています。相談対応経路別件数は、件数が多い順に、警察等79150(50%)、近隣・知人21440(13%)、その他18138(11%)、学校等11449(7%)、家族11178(7%)となっています。増加理由については、心理的虐待に係る相談対応件数の増加、警察等からの通告の増加が指摘されています。
 さらに、これに関連するグラフなどを紹介しますので、それぞれのグラフからどんなことが読み取れるのか、自分なりの答えを考えてください。

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児童虐待の対応件数

 対応件数が年々増加傾向にあります。

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下から、身体、ネグレクト、性的、心理的虐待

一番上の心理的虐待がここ最近急増していますね。

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下から赤色が「実母」オレンジが「実父」水色は「複数」

 よくニュースで聞く、若いお母さんと一緒に暮らす男性が・・・と印象に残っていますが、実のお母さん、お父さんが7割になっています。

3 児童虐待の定義

児童虐待」は「児童虐待防止法」で、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の4つに分類・定義されていることは皆さんご存知かと思います。
 確認ですが「身体的虐待」とは、例えば、殴る、蹴るなどが該当し、「性的虐待」には、性的行為を見せる、性器を触る・触らせるなどが該当します。「ネグレクト」は食事を与えないことなど、「心理的虐待」は言葉による脅しや子どもの前で家族に対して暴力を振るうなどが該当します。
 このことは法律には次のように書かれていますので、確認しましょう。


●「児童虐待の防止等に関する法律第2条」
この法律において、「児童虐待」とは、保護者(略)がその監護する児童(略)について行う次に掲げる行為をいう。
一児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること
ニ児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること
三児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号 又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
四児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者 (婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻擊であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

法律は・・・なんか、言い方が硬くてわかりにくいのですね。

この4つは、「具体的には?」と聞かれても答えられるようにしておこう。

4 通告義務について

 児童虐待を発見した者は、速やかに通告する義務があります。教員をはじめとした学校関係者は、 子どもと日常的に接するため、児童童虐待を発見しやすい立場にあります。児童虐待防止去では、教員はこのことを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならないと第6条に次のように記されています。

●「児童虐待の防止等に関する法律第6条」
児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所もしくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所もしくは児童相談所に通告しなければならない。

どこに通告するかも覚えておこう!警察じゃないよ!

5 教師は早期発見しやすい立場と自覚すべし!

●「児童虐待の防止等に関する法律第5条第1項」
学校、児童福祉施設、病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、 医飾、保健師、弁護士その他児童の福社に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。


6「虐待」について啓発し、未然に防ぐ努力義務!

●「児童虐待の防止等に関する法律第5条第3項」
学校及び児童福祉施設は、児童及び保護者に対して、児童虐待の防止のための教育又は啓発に努めなければならない。

7 「改正児童虐待防止法」は、今年度絶対に出る!!!!!!

 千葉県野田市の女児死亡事件など、子どもへの「しつけ」を名目にした虐待が後を絶たないことから家庭内における「体罰禁止」を明確にすることや、児童相談所(児相)の機能強化も盛り込んだ。一部を除き2020年4月から適用となりました。
 野田市の事件では、暴行被害を訴えた女児のアンケートを教育委員会が父親に渡していたことが問題となっていましたね。改正法では学校や教育委員会児童福祉施設に対して守秘義務を課すことも盛り込まれています。

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今年度、改正点を聞かれる可能性は大きい!

参考;東京新聞HP

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201906/CK2019061902000295.html

8 さらに詳しく!クイズで!

Q1
心理的虐待は、婚姻閨係にある者が配偶者に対して 子どもの前で暴力を振るうなどのことを言い、婚姻関 係にない者が行う行為は含まれない。

 

Q2児童虐待を受けたと思われる子どもを発見した場合は、その確かな物証を得た上で、児童相談所に通告しなくてはいけない。

Q3
児童虐待への意識を高める運動のシンボルは、イエローリボンである。

 

答えは下です!

 

 

A1×
いいえ!事実上婚姻関係にあると認められるような間柄であれば心理的虐待となる。

A2 ×
児童虐待を発見した者は、疑わしいものであっても速やかに通告義務があります。

A3×
いいえ、オレンジリボンです。イエローリボンは障害者の社会参加、平和、脱原発、戦地の自国兵への連帯などいくつかの意味があります。

 リボンの色とそれぞれの運動の趣旨を確認しておきましょう。
https://matome.naver.jp/odai/2137344202282753201